「WWDJAPAN」には美容ジャーナリストの齋藤薫さんによる連載「ビューティ業界へオピニオン」がある。長年ビューティ業界に携わり化粧品メーカーからも絶大な信頼を得る美容ジャーナリストの齋藤さんがビューティ業界をさらに盛り立てるべく、さまざまな視点からの思いや提案が込められた内容は必見だ。(この記事はWWDジャパン2021年12月20・27日号からの抜粋です)
言わぬが花……そう、これも本来はそういう種類のものなのかもしれない。化粧品のリニューアルについてである。リニューアルは、化粧品にとって義務のような宿命のような、また逃げ場所のような特別なもの。化粧品である以上、常に改良され、強化されていくべき運命にある一方、売れなくなったから、中身も容器も刷新しなければ、といった販促のためのリニューアルも当然あるわけで、両方の理由が相まって、化粧品の進化は、ほとんど慣例的なものになっている。
でも消費者の方もそういう“進化”に慣れ、“裏事情”にも気づいているから、だんだん喜ばなくなっていた。その上、“進化”は期待値が大きい分、逆に小さな失望を生みやすい。「旧作の方が良かった」「変えないで」の声も、化粧品は愛着も重要なファクターだからあって当然。正直、名前のEXやアドバンスも虚しく、インパクトも魅力も減っていくマイナスのベクトルも働きがちだったのだ。
そんな中、2021年のベストコスメではリニューアルものが圧倒的な力を見せつけたのに気づいていただろうか。言わずもがなの「コスメデコルテ」の“モイスチュア リポソーム”進化版、上期に圧倒的な強さを見せた「ポーラ」の“リンクルショット メディカル セラム”の進化版、「オバジ」の“C25セラム”の進化版、これらが上位を独占、これは今までなかったケースといっていいだろう。違和感を感じながらも、素晴らしいと思った。
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