「バルミューダ(BALMUDA)」初の旗艦店が11月、東京・南青山に登場した。2層約300平方メートルの同店舗は、ファッションブティックが並ぶ表参道のショッピングエリアにある。寺尾玄バルミューダ社長が5月に散歩中に、この物件を見つけたのがきっかけだ。天井が高くすっきりとした店内は、ギャラリーのような雰囲気。1階で製品を展示販売し、2階は、体験を提供するラウンジになっている。店舗の壁にはイタリアから取り寄せたビンテージのレンガを用いたり、アーチ形のデザインを施してヨーロッパ風の趣の店舗に仕上げた。BGMはなく、静かな空間にキッチン家電はもちろんのこと、照明や空調など全製品16点を美術作品のように展示している。私が同店舗を訪れたのは平日の夕方だったが、老若男女さまざまな人が来店し、思い思いに製品に触れていた。
引き算で必要な機能にフォーカスしたスマホ
「バルミューダ テクノロジーズ(BALMUDA TECHNOLOGIES以下、バルミューダ)」は、第一弾5Gスマートフォンを旗艦店オープン直前に発売。旗艦店では、SIMフリーモデルとソフトバンクモデル両方を体験できるコーナーがある。アンドロイド搭載の同スマホは5Gで最小・最軽量。スマホ以外の生活を楽しむためのツールとして開発された。
スマホは多くのアプリや機能があるが、「バルミューダ」のスマホの特徴は、スケジュール、メモ、計算機、ウオッチ、カメラ機能にフォーカスした独自のアプリが特徴だ。スケジュールは、ピンチイン・ピンチアウトにより、1目で1週間のスケジュールが確認できる。また、天気や気温も表示してくれる。メモはカラー分けされており、付箋を貼る感覚で優先度の高いものから並べ替えられるようになっている。計算機は、ボタンにより億単位で表示が可能。また、ドル、ユーロ、ポンド、元のレート計算ができて履歴も残るようになっており、経営者などに便利な機能付きだ。ウオッチ機能は、目覚ましやカウントダウンなど、目的別に心地良い音で知らせてくれるというもの。これら音楽は、寺尾社長による作曲だ。カメラのモードは、フォト、料理、人物、夜景モードとシンプル。アプリで溢れかえるスマホから、本当に必要なアプリを使い勝手よくアレンジし搭載したのが「バルミューダ」のスマホ。引き算により生み出された経営者をはじめ、多忙な人々にぴったりの一台といえる。
2階の体験ラウンジは平日も満席
階段を上がると2階はカウンターとベンチが置かれたラウンジスペースになっている。ゆったりとした空間には、「バルミューダ」製品のデザイン画などが展示してある。ここでは、“バルミューダ ザ トースター”で焼いたトーストやクロワッサン、コーヒーメーカーの“バルミューダ ザ ブリュー”で入れたコーヒーを無料で提供。このラウンジでは、トーストやコーヒーの味だけでなく、トーストが焼き上がる時間やコーヒーを入れる時間なども体験してもらうのが目的だ。平日だというのに、ベンチもほぼ満席。限定数を設けておらず、土日は行列ができることもあるという。カウンターに座り、「メゾンカイザー(MAISON KAYSER)」のトーストと「バルミューダ」が「スターバックス(STARBUCKS)」とコラボレーションしたコーヒーをいただく。提供するパンは定期的にブランドが変わるそうだ。
家電の体験スペースというと、さっと食べてさっと立ち去るイメージだが、まるで、カフェのカウンターでくつろぐイメージだ。ここでの体験が奏功してか、期間店で一番売れているのがコーヒーメーカーだという。トースターやコーヒーメーカーだけでなく“バルミューダ ザ ごはん”で炊いたご飯を提供することもあるようだ。ゆくゆくは、ワークショップなども企画するという。「バルミューダ」の旗艦店は、ブランド体験を見事に体現した店舗だ。