ファッション

“Msスナイデル”に1日密着して分かったブランド好調のわけ

 「WWD JAPAN」11月8日号の販売員特集で、好調な「スナイデル(SNIDEL)」を支える中心人物(=Msスナイデル)として、横内真由美マッシュスタイルラボ担当課長を取材した。特に注目したのが、横内課長が“監督”となり全国のショップスタッフに配信する5分程度の短い動画の存在だった。「『スナイデル』快進撃の秘密はここにある!」と感じたのだが、その時には取材がかなわなかった……。もっと横内課長を知りたいと、1日密着を依頼。もちろん、動画の撮影現場もリクエストした。特集では伝え切れなかった人となりや「スナイデル」スタッフの仕事ぶり、果てはマッシュホールディングス(HD)の福利厚生についても伝えたい。

動画撮影現場でのMsスナイデルは、
まるで映画監督のよう!?

 まずは、追加取材最大のモチベーションである、販売員向け動画の撮影現場にお邪魔した。「スナイデル」では隔週ペースで、強化アイテムとそのポイント、提案すべきコーディネート例など、接客に役立つ具体的な情報を5分ほどの短い動画にして配信している。出演は平田彩織さんと井口冬美さん両トレーナー店長で、横内課長は台本片手にカメラ(iPhone)の横に陣取る。この日は、パーティーシーン向けアイテムの効果的な販売方法をロープレ形式で撮影。時に、温厚な横内課長から厳しい言葉が飛ぶ。それもそのはずで、この動画こそが全国に31店舗(FCを除く)ある「スナイデル」の“原動力”となる。横内課長も、「撮影現場に毎回同席はできませんが、企画段階、台本ができた際、編集済みの状態で必ずチェックしています」と話す。

 動画は1つのテーマを決めて、約2時間半かけて撮影する。販売員が出勤時や休憩中に手軽に見やすいよう5分程度に編集して、3本ほどで配信する。編集済みの動画を見せてもらうとタイトルや字幕はもちろん、専門的な原料についての説明もイラスト入りで分かりやすく解説されていた。展示会時やデザイナーを招いた店舗営業後の勉強会などで販売員向けに商品説明を行う店舗は少なくないが、「スナイデル」では動画配信によって隙間時間で効率良く学ぶことができる。そして、確かな知識を持つことで“厚みのある接客”が可能になる。

 トレーナー店長らに、横内課長について尋ねると「ひと言でいえばムードメーカー。スタッフのことをよく見てくれて、褒めてほしいポイントを的確に褒めてくれます(笑)。逆にダメ出しも的確なので、改善しなくちゃという前向きな気持ちになれます。スタッフ全員から愛されている方です」と2人声をそろえた。


 

売上一番店の店長に聞く、
「Msスナイデルは接客も一流!」

 展示会シーズンなどの繁忙期を除き、横内課長は週に1度は店頭に顔を出す。中でも、マッシュスタイルラボの全店舗の中で、トップの売上を誇る「スナイデル」ルミネ新宿2店は最も頻度が高い。同店には14人の販売員が所属し、店長も2人いる。店舗や販売員の様子について、店から報告される情報を聞くのだけでなく、自分の目で確かめるのが横内流だ。時間さえあれば1日店頭に立ち、接客もする。

 半田あかり店長にも、横内課長について聞いた。「一番の相談相手で、いつも親身になってくれます。そして、優しい人柄がにじみ出た接客も素晴らしいんです!だから、若手スタッフには『お手本になるから、よく観察して』と言っています。どんなタイプのお客さまの懐にも、すっと入り込むところが特にすごいです」と大絶賛だった。


 

「パリヤ」の社食に代表される
マッシュHDの手厚い福利厚生

 東京・四ツ谷にあるマッシュHD本社には、ファッション業界でもうわさの社員食堂がある。運営するのは傘下のデリカデッセン「パリヤ」だ。「店舗回りもしているので、残念ながら社食を食べられるのは週に1回ほど……。でも、ほんとにおいしいんです!」と横内課長。取材後に食べさせてもらうと、確かにおいしい。それに見た目に美しく、ボリュームも満点。これには、2022年春夏にスタートするメンズブランド「アウール(AOURE)」の影響で増えたという男性スタッフも満足なはずだ。

 同社は17年4月に「ウェルネスデザイン研究所」という専門の研究機関を設立し、コーポレートスローガンにも“ウェルネスデザイン”を掲げるなど社員の健康に気を遣っており、社食のほかにフィットネスジムやヨガスタジオ、託児施設も備える。横内課長は、「コロナ禍の今は休止していますが、本社では“ウェルネスウェンズデー”と称して毎週水曜日の午前中はヨガや瞑想、フィットネス、ウォーキングなどをする時間として、仕事を一切しない時間を設けているんですよ」と説明する。

<まとめ>
 売り場で仕事をしていると本社都合の仕事にうんざりするのに、本社勤務になったとたんに店でのことをすっかり忘れて本社都合の指示を出してしまう“本社病”というのがあるが、横内課長がなぜ“本社病”にかからないのか1日密着して分かった。「スナイデル」というブランドを支えるハブ的存在でありながら店頭にも立ち、現場の今を熟知しているからこそ、販売員が働きやすい店舗を作るアクションができる。そして、いつもにこやかにハードワークをこなす横内課長の後ろ姿にスタッフは信頼を寄せ、この心の強固なつながりが「スナイデル」好調の理由であることを知った。

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