サザビーリーグによるD2Cジュエリーブランド「アルティーダ ウード(ARTIDA OUD)」のディレクションを手掛けた安部真理子氏の新ジュエリーブランド「シャランポワ(SHARANPOI)」が登場した。安部シャランポワ代表は、サザビーリーグを離れて独自のブランドを設立。インドと日本の伝統工芸を反映したジュエリーを提供する同ブランドの東京・南青山の隠れ家のようなサロンを訪れた。オリエンタルな家具がアクセントのゆったりとした空間の棚には、幾つもの香料のボトルがずらりと置かれ、まるでスパのような雰囲気。安部代表は「アルティー ダウード」でもフレグランスなどを展開し、総合的にブランドの世界観を作りあげた人物だ。自身のブランドをスタートし、サロンをオープンした安部代表に話を聞いた。
WWD:「シャランポワ」の構想はいつから?
安部真理子シャランポワ代表(以下、安部):約2年前から。週末だけでもサロンでオーダーできるジュエリーを提供したいと思った。日本は、欧米などと違ってジュエリーを代々引き継ぐ文化がなく、古いジュエリーは質屋に出すなど手放す人が多く、それらジュエリーに使用されていたきれいな石が元値よりずっと安い価格で販売されている。それらが、外国バイヤーにより海外に流出しているという話を聞いた。そこで、日本国内にある古い宝石を使用し、ジュエリーにしようと思った。古いけれども品質の高い石が安く買えることもある。デザイン的には、インド独特のダイヤモンドを大きく見せる技法“ポルキ”をはじめ、日本のうるしの技術などを融合させたオーダージュエリーを提供したいと「シャランポワ」を立ち上げた。
WWD:「シャランポワ」というブランド名は?
安部:ドリーミーな造語で東洋と西洋の伝統と価値、アップサイクルをテーマにしている。日本にある昔のジュエリーに使用されていた石など、できるだけあるものを使用してジュエリーを制作したい。
WWD:「シャランポワ」を立ち上げた理由は?
安部:今まで、オンライン中心でジュエリーを販売する活動をしてきた。「ストラスブルゴ(STRUSBURGO)」で販売をした経験があり、一人一人の顧客と対面でゼロからジュエリーを作り上げたいと思った。インドと日本の伝統工芸に向き合ったジュエリーを提供すると同時に、古くなったジャエリーをリフォームして喜んでもらえれば。そこで、プライベートなサロンをオープンした。ここは、作家の作品を展示するギャラリーとしても使用したいと思っている。
WWD:ブランドのコンセプトは?
安部:古いジュエリーに使用されていた宝石を使用し、インドのポルキやエナメル、日本のうるし工芸や象嵌技術など、慎ましくも流麗な東洋の工芸を生かしたジュエリー。宝石とは、身につけてこそ輝くもの。だから、古くなったジュエリーをリフォームして新たな息吹を与えることを目的にしている。
WWD:中心の価格帯は?
安部:リングが15万円、ピアスが12万円、バングルは40万円程度。ダイヤモンドやエメラルドを使用した110万〜160万円程度のネックレスもある。オーダージュエリーなので、各顧客の希望に合わせて柔軟に対応する。
WWD:背後のボトルの数々は?
安部:このサロンは、BtoBでイタリア・トスカーナ発オーガニックの香料の代理店としての役割も兼ねている。フランスの有名なコスメブランドなどのOEMを手掛けているオーガニックの認証を得た工場で、ここでは、既に香水として調合されている原液を約100種類、精油を約40種類そろえている。ミニマムのロットはあるが、オリジナルのオーガニックな香りを纏ったスキンケア、ヘアケア、キャンドル、ルームフレグランスなどの製造が可能だ。香料はイタリア・ロンバルディアの2社、シチリアの1社から調達している。日本のホテルのアメニティーなども手掛けていて、柔らかい香りが特徴だ。
WWD:「アルティーダ ウード」でもフレグランスなどを展開していたが、独自でフレグランスのブランドを立ち上げる可能性は?
安部:私自身、イタリアの工場と長年携わってきたので、ゆくゆくはオリジナルのフレグランスにチャレンジしてみたい。