ビジネス

経済予測の名人ニトリ会長、2022年の日経平均を2万9000円と予測も「各国政府の財政出動で予測は困難」

 34期連続で増収増益を達成しているニトリホールディングス。12月24日のクリスマスイブに、東京・北区のオフィスで発表した、2021年3 〜11月決算説明会で、期初に掲げた業績予想を据え置きし、35期連続の増収増益に向けて全社一丸となって達成を目指すと強調した。株式や為替の見立て力で注目を集める似鳥昭雄ニトリホールディングス会長兼CEOは、アナリストや記者の質問にどう答えたのか?会見でのやり取りをまとめた。

――当面の為替の見方は?

似鳥昭雄会長(以下、似鳥):為替は、今まではわりあい順調に早め早めに手を打ったが、今回は逆に手が遅くなったなと。いや、申し訳ないと反省している。上半期は109円で予約できた。そのまま下半期もすればよかった。1、2円でも円高になるかもと思ったが、逆に円安に進んでしまった。私の読みが甘かったなと反省している。(米国大統領の)バイデンさんが100兆円200兆円とばらまいた結果、アメリカの消費が非常に増えて、全世界的にアメリカのほうに消費がいって、コンテナ(の物流費用)が5倍に上がったりした。めちゃくちゃになった。そういうのを予測できなかった。で、円安になってしまった。115円ぐらいまで円安になっているが、113円10~20銭で、2月20日までに予約した。

来年どうなるか。僕は前半は多少、円高になってくるのではないかなと。そしてまた、状況によっては、また110~115円に向かっているかもしれない。だから、3月からの第1、第2四半期に、円高のときに予約をすればいいかな、という予想をしている。アメリカ次第ということですよね。バイデンさんがどういう手を売ってくるか。ただ、お金をばらまいたとき、日本は70%貯蓄に回るが、アメリカの場合は80~90%消費して、すぐ使っちゃおうと。メンタルの違いかもしれないが。それも使ってしまって、消費が細ってくる。だからだいたい半年から8カ月後には、米国もだんだん消費が先細ってくるだろう。コンテナも原料高も来年、第2四半期(6〜8月)ぐらいには平常に戻るのではないかと思っている。

増収増益がどうなるかとみなさん心配していただいているが、第3四半期までは増収増益になると。大きくはならないけど、今ようやくとそういう計算ができるようになっている。11月末ごろから寒くなってきて、季節ものが売れ始めてきた。そして、前年比が95%前後できているので、91%以上上回れば増収増益は十分いける!と読んでいる。全力を挙げて今取り組んで、一層のコストを下げながら、経費を下げながら取り組んでいるところだ。必ず達成する。

達成できたらウォルマートと同じ、(連続増収増益の記録が)世界第1位となる。世界一になれるなんてことは滅多にないから、全社員一丸となって取り組んでいる。

――カインズと東急ハンズの経営統合の発表があった。住居関連業界がどういった方向に動いていくのか。会長の見解をお聞かせいただきたい。

似鳥:私はいいことだなと思うが、うちとしては、東急ハンズさんの店があるところはだいたいうちの店があるので、うちとしてはメリットはいまいちだなと思っていた。カインズさんにしては、ない地域なので、大変いいと思う。今の東急ハンズさんからの商品も、カインズさんからの商品も、どんどん入ったり。ネットを拡大したり。大変いいと思う。今後はホームセンターだけとか、ホームファニシングだけでなく、住関連の経営統合はますます増えていくんじゃないかな。そういう面では、提携、統合など、いいことだと思う。(こういった分野の経営統合は)まだほんの始まりに過ぎないと思う。これからますます盛んになるだろう。

――ニトリ自身のM&Aの計画は?

似鳥会長:あってもありますとは言えません(笑)。まあ、願望としてはもちろんあります。アメリカも合併、合併の状態。(われわれも)住関連だけでなく、家電も含めた提携や統廃合がある。衣料も始めたばかりだが、衣料の中でも提携・合併は出てくるだろうし、衣食住が一緒になる場合もある。チャンスが多い。

アメリカはウォルマートが(売上高)60兆円。アマゾンが45兆円。この2つに集約されてしまっていて。スポーツも電気のチェーンもベストバイ以外はみな、ディスカウントストアに(買収された)。トイザらスも日本はあるけど米国では破綻し、スポーツオーソリティも日本にはあるけどアメリカは倒産してしまって今はない。競合というのは苦しいけど、どこの業態も1、2位に集約され、あとはちょっと苦しい状況になっている。日本は(上位)5~10社はまだある。これが10年間で少なくなり、アメリカ型になってくると思う。どの業界、業態でも寡占化になってくるし、異業種との合併や提携が盛んに行われる時代になる。いよいよ競合から、競争状態になる。(業界動向として)日本には常にアメリカの10年から20年遅れでやってくる。(M&Aや淘汰など)この10年間だと思う。乗り遅れないように、常に中心になって進めていきたい。

――家具業界ではトップだが、異業種でもトップになりたいという野望は?

似鳥:お互いに野望は持っていますから。うちだけでなくて、どこも。カインズがやったように、どこも大手は持っている。うちだけがなんかどんどん寡占していこうとしているとは書かないで(笑)。よその国もみんな競争してトップになりたいと思っている。なんか答えにくい(苦笑)。

――先ほど為替相場の質問があったが、来年の日本経済、日経平均と来年の日本経済を見るうえでのポイントは?

似鳥:今の日経平均は2万8000円台だが、来年は2万8000~2万9000円、3万円近いところまで行くかもしれないが、10月ごろには2万6000円ぐらいに下がると思う。そんな感じで上がり下がりしながら、年末に向けて2万9000円になると。「がっちりマンデー」のいつもの(企画で)12月の予想も聞かれているが、来年も2万9000円に届くかなと。

為替は3月か4月ぐらいから円高になってきて、また110円を切る可能性は十分あると思う。そしてまた、夏、第3四半期ぐらいから年末まで円安になっていくんじゃないかと、ざっと見ている。当たるも八卦当たらぬも八卦。まあ運みたいなものだが、やっぱりコロナ次第。オミクロンが今ヨーロッパやアメリカで拡大中だし、これがどの辺までいくか想像できない。今、イギリスやフランスが、とくにイギリスは(1日の新規感染者数が)10万人など、すごい勢いで増えている。これがどう影響していくか。

米国政府の財政出動もなかなか厳しい。中間選挙もひょっとしたら(与党の)民主党が負けるかもしれない。財政がなかなか厳しいおり、どんどん国民にお金を配っていたのがなかなかできにくい。実際に今は、非常にお金を配って異常な状態になっている。それは沈下するのではないかなと僕は思っている。一時、円高に向かうというのはそういう根拠だ。

アメリカの景気も、10数年(上昇傾向が)長く続いている。戦後初めてでは?かつて経験したことがない、不況がない状態が続いている。これがいつ不況になっていくか。あとは株式の暴落だ。これはどの業界でも思っている。来年なのか、再来年なのか。必ずやってくるだろうと。証券業界の人もそう思っているし。いつになるかと思っていても、実際には突然やってくる。来年はどうかなと。ちょっとそれはわからないですけどね。あんまりうまく説明できないですが。いろんな条件がありすぎて、決め手がない。コロナの影響もあって、今回ほど株と為替の予測が難しかったことはないなあ。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。