大手セレクトショップ(メンズ)の2022年春夏展示会の特徴は、“原点回帰”だった。各社ともそれぞれのアイデンティティーに立ち返り、あらためて提案していた。“ミリタリー”“ワーク”“スポーツ”といったメンズ服の根源的なモチーフはもちろん、さらに推し進めて“デニム”や“スーツ”を打ち出しているのが印象的だった。
静かなるデニムがいよいよ目を覚ます? セットアップ提案も
まずはデニムの復権だ。「WWDJAPAN」でも数年にわたって“デニムが売れない”と伝え、コロナに伴うおうち時間の増加がそれに拍車をかけていたが、ようやく復調の兆しか?かかつては“MDから外す”というセレクトショップもあった中、22年春夏は各社がしっかり展示会でコーナー展開していた。特に規模が大きかったのはロンハーマンだ。会場入口にスペースを取り、ぜいたくにディスプレーしていた。また、フリークス ストアはクラボウと協業し、“落ち綿” (紡績の際に発生する繊維くず)を使ったサステナブルなジーンズを安価(税込7975円~)に提案。そこに刺しゅうを入れ、フォークロアに昇華しているのがフリークス流だ。ビームスでは、セットアップ提案も多数見た。
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あげるためのスーツ 男の色気も醸す
ドレス部門を持つ業態では、スーツの押し出しも強かった。それも“ビジネス着”ではなく、「機能よりファン!気分をあげるための服」(ユナイテッドアローズ)としてだ。それは時として、男の色気も醸す。Vゾーンで遊ぶのはもちろん、スーツ自体に色や柄があるものが多い。また、ダブルブレステッドの提案も顕著だった。
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満を持してブレザーブーム来るか? こちらもダブルが多数
カジュアルとドレスをつなぐ存在として、“いよいよ”感があるのがブレザーだ。こちらもダブルブレステッドが多い。イタリア・フィレンツェで開催されるメンズファッション最大の見本市、ピッティ ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMAGINE UOMO)などで数年前に生まれたトレンドの種が、ついにリアルクローズでも芽を出すか?目玉はシップスが、20年に商標を獲得した米国のメンズクロージングファクトリー、サウスウィック(SOUTHWICK)を再起動させたこと。シグネチャーアイテムであるブレザー(9万円)のほか、ボタンダウンシャツ(2万3000円)やTシャツ(9000円)も用意し、トータルウエアブランド化を目指すという。
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効果的に差された、ポジティブで力強いカラー
最後にもう一つ、うれしい動きを付け加えたい。“カラフルな差し色”だ。コロナによるうっぷんを晴らすような、ポジティブで力強いカラーがリアルクローズ界にも戻ってきた。この心意気がエンドユーザーにも伝播し、22年は街が色とりどりに染まればと願う。
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