不動産企業のヒューリックが手掛けるホテルブランド「ザ・ゲートホテル バイ ヒューリック(THE GATE HOTEL BY HULIC)」の国内3軒目、関西初の「ザ・ゲートホテル京都高瀬川 バイ ヒューリック(以下、ゲートホテル京都)」は京都・四条河原町に程近い抜群のロケーションにある。同ホテルは、京都市による「元立誠小学校跡地活用事業」である複合施設の「立誠ガーデン ヒューリック京都(ガーデンヒューリック京都)」内に2020年夏に開業。日本初の学区制小学校である1927年に竣工した立誠小学校の校舎を保全・再生した“スクールハウス棟”とそれに馴染むように建てられた“メーン棟”から構成されている。地元の人々に愛された小学校の面影を残す同ホテルの試泊リポートをお届けする。
「ガーデンヒューリック京都」は高瀬川沿いの大きな施設だ。敷地内の広い芝生は、コーヒーなどを片手にくつろげる都会のオアシス的な場所。12月、寒い中でも学生や子ども連れの家族などのリラックスする姿が見られた。元小学校の正門と思われるエントランスを入ると、レストランやショップなどがあり、その奥にソファが置かれた空間が広がっていた。ホテルの1階エントランスは、シンプルそのもの。カウンターでスタッフが暖かく迎えてくれる。エレベーターで8階ロビーに到着すると、東山を一面に見渡せるパノラマが広がっている。試泊したのは12月初旬の週末。緊急事態宣言が明けたということもあり、チェックインを待つ宿泊客が見られた。ソファに案内されてチェックインを待つと、京都の寺院や名所が記されたQRコード付きの「東山を望む風景」マップを渡された。マップを見ながら、目の前に広がる景色を楽しめるさりげなく気の利いたサービスだ。チェックインを済ませると、「ゲートホテル京都」の福田祐紀・運営部マネジャーがホテル内を案内してくれた。
コネクトルームやアートのある実験的な部屋
元小学校の校舎をリノベーションしたスクールハウス棟には、スイートルームをはじめ、家族連れに便利なコネクトルームやアートをインスタレーションしたラボルームなど20室がある。また、「立誠小学校」時代に道徳や礼儀作法を教える場であった自彊室を再生。60畳の大広間には、畳以外の扉や机は元小学校で用いられたものを使用している。「ゲートホテル京都」では、この部屋を毎朝お香が炊かれたリトリートルームとしてヨガクラスなどを開催するという。福田マネジャーは、「卒業生が訪れると、元校舎のロマネスク様式を生かしたデザインや自彊室を懐かしく思われるようだ」と話す。目玉のラボルームは3室。植栽家の村瀬貴昭による坪庭を眺められる部屋や彫刻家の樂雅臣が手掛けた石彫のある部屋、村瀬と樂の共同作品のインスタレーションがある部屋がある。「小学校の間取りを生かすために作られた実験的な部屋。アートを独り占めできるユニークな空間だ」と同マネジャー。
アウトドア空間もある東山を望むバーとレストラン
8階ロビー階には、東山を一面に望めるカウンターのあるロビーラウンジ&バーがある。豊富なカクテルをはじめ、軽食やスイーツなどが楽しめるようになっており、宿泊客は24時間利用できるという点も魅力だ。カウンターにゆったりと座り季節や時間により変化する東山の景色を楽しむには抜群の場所だ。バーの奥には、オールデーダイニングの「アンカー キョート」がある。テラス席もあり、開放感抜群。春には、高瀬川沿いの桜を見ながら食事が楽しめる。ディナーコースは、オリジナリティーあふれるこだわりの食材ミックスが特徴。秋刀魚とホワイトバルサミコ、ザクロのコンディメントのスターターから、メーンの魚、肉料理、デザートまで盛りだくさんで、特に黒毛和牛の低温ローストは絶品だ。
贅沢な空間と快適な眠りを約束 宿泊者専用パティオでは焚き火も
私が宿泊したのはスクール棟の“グレース コーナー ワイドツイン”。ドアを開けるとゆったりとしたリビングルームがあり、大画面テレビが置かれたキャビネットの奥がベッドルームになっている。40平方メートルはあると思われる明るく広々とした客室は、ホテルの部屋というよりは、ちょっとしたアパートのようだ。ベッドはイギリス発高級ベッド「スランバーランド(SLUMBERLAND)」が快適な眠りを約束。リビングルームからもベッドルームからもテレビが見られるという贅沢な空間になっている。正規宿泊料(税・サービス別)は、2万7000~20万3000円。
3階には、宿泊者専用のラウンジ&パティオがあり、無料でワインやソフトドリンクなどを提供(有料メニュー有り)。アウトドアのパティオには、ファイヤーピットがあり焚き火ができるようになっており、ワイン片手に語らう宿泊客の姿が見られた。
こだわりの朝食には行列が
「ゲートホテル京都」の魅力の一つはこだわりの朝食(3300円、宿泊者は2800円)だ。搾りたてのオレンジジュースに始まり、フルーツ、ヨーグルト、サラダとヘルシーなメニューで、メーンはシグニチャーの“エッグベネディクト”と“フレンチトースト”から選べるようになっている。パン用のバターはフランスの「エシレ(ECHIRE)」、マーマレードはホテルオリジナルだ。「ゲートホテル京都」では、京都の食材を使用した和食膳を数量限定で用意。8時ごろに「アンカーキョート」に行くと、行列ができている。列に並び順番を待つと速やかに席に案内された。店内は、ほぼ満席。家族連れやランニングから帰ってきたカップルなどが朝食を楽しんでいた。和食膳は既に終了していたのでフレンチトーストをオーダー。レストランの奥には、京都南座を見渡せるアウトドアテラスがあり、清々しい朝の空気に触れられるのも魅力だ。“フレンチトースト”はボリュームたっぷりだが、甘すぎない大人の味。ドリンクは、コーヒーや紅茶のほかに、ほうじ茶があるところも京都らしい。きびきびと元気良く朝食をサービスする若いスタッフの姿も印象的だった。
チェックイン前に精算を済ませ、追加精算がない場合はエクスプレスチェックアウトが可能だ。電話でフロントにその旨を伝え、部屋にカードキーを置けばOK。1階のクローク然り、宿泊者にとって便利なサービスも「ゲートホテル京都」の魅力だ。