力強さの中にも女性らしいタッチ、独特の色彩で注目を集める新進気鋭の絵描きであるイズミダ・リーさんは、「ユニクロ(UNIQLO)」や「ジャーナルスタンダードファニチャー(JOURNAL STANDARD FURNITURE)」などアパレル企業とのコラボレーションを行うなど活躍の場を広げている。3月にはミネラルメイクブランド「エトヴォス(ETVOS)」が2012年からシーズン限定で販売する“ミネラルUVシリーズ”のパッケージデザインを担当。イズミダさんに創作活動や「エトヴォス」で手掛けたデザインなどについて聞いた。
WWDJAPAN(以下、WWD):アパレル企業とのコラボレーションで話題に。子ども対象にしたワークショップなども人気を集めている。
イズミダ・リー(以下、イズミダ):普段は個展に向けて自分の作品をベースにしていますが、友人や知り合いなどがアパレル企業とのコラボレーションなど新規案件を提案してくれます。それに柔軟に対応すると楽しい取り組みになりますね。もちろん闇雲に引き受けるのではなく、自分と共通点のあるものや、好きなアイテムであることが大前提にあります。
店舗のウィンドウにデザインしたり、子どもたちが参加するワークショップの需要が高くなったりしているのは、コロナ禍で2年近くリアルなイベントが軒並みキャンセルとなっていたので、その反動があると思っています。私自身も20年はライフワークである個展を休止していましたが、21年は巡回展を再開しました。
WWD:デザインソースはどこから得ているのか。
イズミダ:とにかく絵を描くのが大好きなんです。私にとって描くことはポジティブになること。スケッチブックは常に持ち歩いているので隙間時間があれば書いています。年間で厚みのあるスケッチブックが4〜5冊一杯になります。アウトドアが好きなので山や川など自然に触れて得たものを描くことが多いですね。花ばかりや魚ばかり書いている時期もあります。10〜25歳位までは人物画も描いていましたが、今は植物や昆虫、動物などが多いですね。
あとは、自己分析する時間を大切にしています。無理をしない時期、頑張る時期などを自分でジャッジできるようになるとフラットな状態で常にいられます。
WWD:サステナブルな生活を日常的に取り入れているとか。
イズミダ:モノを大切に扱っています。アクリル絵の具を使用し描いているのですが、水入れは小学生から使っているものです。普段の生活でも過剰包装を断ったり、環境に考慮した商品を選んだりしています。
「エトヴォス」のパッケージを描き下ろし
WWD:「エトヴォス」からの依頼でメイクアップ商品のパッケージデザインを初めて手掛けた。
イズミダ:声が掛かったときは、シンプルにやったーと思いました(笑)。毎日使用する化粧品パッケージを手掛けてみたかったんです。私は敏感肌なので「エトヴォス」の商品を愛用していたんですよ。芯がしっかりしているブランドという印象を生かしつつ、“ミネラルUVシリーズ”は日焼け止めアイテムであることから、山や川、鳥、蝶など自然からインスピレーションを得て1枚の絵を描きました。5アイテムのパッケージは、その1枚の絵を切り取り、使用するデザインの箇所を変えているんです。そんな使い方があるんだと面白さを感じました。
「エトヴォス」は自分が使いたいブランドです。“ミネラルUVシリーズ”は12年の発売以来、珊瑚の白化の原因になる紫外線吸収剤を使用せず、肌と環境にやさしいアイテムをそろえています。今回、初めてアイシャドウやリップなどカラーアイテムを使ったのですが、カラーメイクって気持ちが高揚しますよね。自分がデザインを手掛けたというわけではなく、好きな商品だから友人にも自信をもって勧められます。まずは姉と妹に使ってもらいます(笑)。
WWD:絵描きとして今年も活躍の場が広がる。
イズミダ:昨年は巡回展を開催しました。今年も絵の展示やワークショップの依頼が増えています。異業種とのコラボレーションもありますので楽しみにしていてください。