香りを楽しむニーズの高まりとともに、フレグランスカテゴリーが盛り上がっている。そこで、ビューティに精通した“美容通”は普段からどのようなフレグランスを使っているのか「推しフレグランス」を調査した。お気に入りの付け方やフレグランス購入のポイントなども紹介する。回答者は、ビューティライターの石塚久美子氏、「beautyまとめ」エディターの右原香織氏、講談社「栗原はるみ」編集長の片岡千晶氏、フリーランスビューティPRのくるすあつこ氏、「ツィギー(Twiggy)」の松浦美穂オーナースタイリスト。
――推しフレグランスは?
片岡千晶「栗原はるみ」編集長:雑誌ミモレ、日経Aiビューティの編集を担当してきたので、いろいろな香水を使う機会がある。「フレッシュ(FRESH)」“ヘスペリデス グレープフルーツ”(※日本では並行輸入品のみの展開)は、料理家である栗原はるみさんの新雑誌「栗原はるみ」の編集長をすることになり、栗原さんが長年愛用する香水ということで知った。ピュアで混じり気がない素材の香りで、潔いのが気に入っている。グレープフルーツがすっきり爽やかでキリッとしていて、その日の気分や服装のイメージに合わせて使っている。
くるすあつこフリーランスビューティPR(以下、くるす):「シンピュルテ(SIN PURETE)」の“マインドフルフレグランス/Purification of Mind(心の浄化)”(100mL、税込3905円)は、仕事からプライベートモードになりたいときに使っている。トップノートがオレンジ&ユーカリで心をリフレッシュさせてくれる。ミドルノートのラベンダーの香りで心がゆっくりと落ち着き、リラックスモードに。気持ちのスイッチの切り替えをしたい時に最適だ。
松浦美穂「TWIGGY.」オーナースタイリスト:「ユメドリーミン(YUMEDREAMING)」“エピキュリアン グロス&パフューム 「i」”(30mL、5280円)。ジャスミン、ローズ、ネロリにベルガモットなど、オーガニック植物成分からできていて髪の毛だけでなく全身に使用することができる。他に、「セントオブヨーク(SCENT OF YORK.)」の“FETISH”(37.5mL、税込3万3000円※数量限定)と「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(OFFICINE UNIVERSELLE BULY)」の“オー・トリプル リケン・デコス”(75mL、税込1万9520円)は、植物由来の水香水。瞬間的に華やかな香りなのに爽やか感、ナチュラル感が心地良い。基本的に、どの香水を使う時もベースに“エピキュリアン グロス&パフューム 「i」”を、髪の毛から首すじ、手、足など全身につけてから、その日の気分で足している。
石塚久美子美容ライター(以下、石塚):「イソップ(AESOP)」の“ローズ オードパルファム”(50mL、税込1万9800円)を発売時から愛用。特に秋と冬に使うことが多い。ローズはフローラルの女王として知られ、甘美な芳香、時には生花のローズのような酸味などが際立ったものが多く、女性ホルモンの働きを促してくれるといった魅力を感じている。ただ、個人的には「ローズ然」としているとやや酔ってしまう感じがあり敬遠していた。この“ローズ オードパルファム”は、ローズ・シソ・グアヤクウッドが主要成分で、和ハーブの代表であるシソ、スモーキーでアーシーなグアヤクウッドなどが合わさることで、フローラルが潜んだグリーンウッディな香りに仕上がっている。一般的なローズの香水のイメージから良い意味で逸脱しているところが最高。ファッションでいえば、シャツにデニムにチェスターコートなどのスタイリングに、スカーフやアクセサリーなど遊び心のある小物使いでフェミニンかつラフにこなしているような雰囲気。私が理想とする女性像に一番近い。あからさまなフェミニンではなく、光景でいえば都会の中の樹々や緑が多い場所にひっそりとローズが咲いている印象。
「ダウンパフューム(DAWN PERFUME)」もおすすめ。ブランドを代表する“フォーミュラX”というその人自身の肌の匂いを強調する働きのある香りというフレグランスがとてもユニークだ。調香はアメリカのコロラド州で暮らすパフューマーが行っている。ブランドのディレクションを手掛ける杏喜子氏に、5年前に「SMELL&TELL」というカウンセリングを行ってもらった。カウンセリングでは人が持つ肌の匂いを9つに分類しており、私はSWEETに属するとのこと。フローラル系やグルマン系など甘めの香りに食指が動かないとずっと思っていたところ、それは香りが自分の肌の匂いとまじって時間が立つとより甘ったるくなって酔ってしまう傾向があると聞き、とても納得した。浄化がテーマの“タージ ガーデン” (30mL、税込1万1550円)と“ベジマット”(30mL、税込1万1550円)はすっきりと爽やかな香り。タージガーデンは、フレッシュな柑橘系のトップノートにさりげなくケールを合わせて青さを高め、ハートノートのフローラルにジンジャー、ベースノートにターメリックなど、少しヒネリのあるスパイス使いがいい。“ベジマット”は、日本のためにゼロからつくられた香りというだけあって、お寺や神社で清める習慣を持つ日本人の感性にとてもなじむと思う。トップノートは、ベルガモット、そして、ローズウッド、ヒノキ、黒胡椒とウッディ&スパイス。スッキリしているので香水が苦手な方も最初のひと嗅ぎで拒絶、ということがまずない香り。堅い仕事の時には“ベジマット”のみ、デイリー使いではより快活な気分になれる“ベジマット”に“タージガーデン”をレイヤリングするのが好きだ。
右原香織「beautyまとめ」エディター(以下、右原):「ヒロコ.ケイ(HIROKO.K)」のオーガニック香水はどれも嫌味のない香りで、つけているというよりも、肌からふんわりと香るイメージ。自分の体臭が変わったかのような気分になる。特に“スピリットオブウッド”(15mL、税込6600円/50mL、税込1万4300円)は、癒しの香りでおすすめ。オーナーのhiroko氏はプロの調合師で、求めている香りを即座に見つけてくれる。
――普段、香水をどのように使っている?また、マイルールがあれば。
右原:お気に入りの香水は寝る前につけている。
くるす:寝る前に1プッシュ。自然と心を整えリラックスしたい時に香りの力を用いている。
石塚:購入前に、テスターなどで試し、酸化した場合や自分の体に触れたときに匂いがどのように変化するか確かめてから購入するようにしている。ムエットではいい香りと思っても、自分の皮脂や常在菌と混ざりあい、時間が経つと何か違うということがある。買う時は焦らず、その香りをまとって1日過ごしてみるのがマイルール。