百貨店の2022年初売りが始まった。感染状況が増加傾向にあった昨年と比較すると、売上高・客数ともに上向いている。各社とも混雑回避のため、クリアランスセールは21年末からすでに前倒し実施しており、福袋はEC販売の比重を大きくした。初売りの店頭では、セール商品だけでなく、今すぐ使える防寒着や春の新作などのニーズも高まっている。
そごう・西武は売上高と客数(1月1日単日)がともに前年比6割増だった。「コートがセール品だけでなく対象外品も好調で、10万円以上のコートがよく動いた」(同社)。三越伊勢丹の都心3店舗(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)では1月2日単日での売上高、客数が前年から3割増。前々年(20年)との比較では3割減だった。「(セールにかからない)ラグジュアリーブランドや春の新作をお求めのお客さまも例年以上に多かった」。高島屋日本橋店では初売り初日(1月2日)の開店前に約2000人が列を作った。これは店頭での福袋販売を取りやめた昨年の4倍。今年は福袋の在庫の半分ずつをオンラインと店頭で販売した。
また4日、百貨店主要5社が21年12月度売上高速報を発表し、全社が前年同月比プラスとなった。三越伊勢丹が前年同月比14.0%増、高島屋が同10.2%増、そごう・西武が同5.9%増、大丸松坂屋百貨店が同12.4%増、阪急阪神百貨店が同15.9%増。5社そろっての増収は3カ月連続。
外出機会の増加と本格的な防寒着ニーズの高まりが相まって、重衣料がよく売れた。三越伊勢丹両本店(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店)は、衣料品カテゴリーが前年同月比2割増、一昨年との比較でも微増。「一部の優良顧客だけでなく、全体的に購買率が上がってきている」と同社広報。高島屋は婦人・紳士服が前年同月比15%増だった。「消費増税のあった一昨年、外出ができなかった昨年と、しばらく買い控えていたお客さまがお出かけ着を新調されているのでは」(同社)と分析する。阪急阪神百貨店の阪急うめだ本店も、婦人服が3割増と好調だった。