「カルティエ(CARTIER)」「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」「ピアジェ(PIAGET)」「ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)」などの宝飾・高級時計ブランドや「クロエ(CHLOE)」「ダンヒル(DUNHILL)」などを擁するコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)はこのほど、傘下に持つラグジュアリーEC大手のユークス ネッタポルテ グループ(YOOX NET-A-PORTER GROUP以下、YNAP)と、そのライバルである高級ECのファーフェッチ(FARFETCH)を合併させるべく「協議が進んでいる」ことを明らかにした。
ヨハン・ルパート(Johann Rupert)=リシュモン会長は、アマゾン(AMAZON)や中国最大手EC企業のアリババ(ALIBABA)の躍進ぶりから小売りのデジタル化がさらに加速すると予測し、6年ほど前から“ラグジュアリーブランド向けの中立的なECプラットフォーム”を築きたいと考えていたが、当時その話に関心を示したラグジュアリー企業はなかったという。
これは2015年に、当時リシュモンの子会社だったネッタポルテがユークス グループと合併してYNAPが誕生した際、“独立したラグジュアリープラットフォーム”の構築を目指し、ルパート会長がLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)やケリング(KERING)に出資を呼びかけたことを示唆している。しかしこれは実現せず、リシュモンは株式の49%を保有していたYNAPの残りの株式を買い付けて、18年5月に完全子会社化した。
ルパート会長の構想は、数年前にファーフェッチのジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)会長兼最高経営責任者(CEO)と親交を深めたことで一気に現実味を帯びてくる。20年11月にはリシュモン、ファーフェッチ、アリババの3社はグローバルな戦略的パートナーシップ契約を締結しており、リシュモンとしてはこの関係性を生かして中立的なプラットフォームを構築していく考えのようだ。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。