ビューティ

P&Gがスーパーフードを配合した米スキンケアライン「トゥラ」を買収

 プロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE 以下、P&G)は米国発プレステージスキンケアブランド「トゥラ スキンケア(TULA SKINCARE)」を買収する。スーパーフードやプロバイオティクスを配合したスキンケアラインで、消化器専門医のロシニ・ラジ(Roshini Raj)、「ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)」を共同創業したケン・ランディス(Ken Landis)、テック系の実業家のダン・ライヒ(Dan Reich)が2014年に立ち上げた。取引額は非公表。P&Gにとって、直近2カ月で3度目の買収案件だ。

 「トゥラ スキンケア」は立ち上げ直後から急速に伸び、現在ウルタ(ULTA)で最も成長しているプレステージブランドの一つだ。トレンドになる前からプロバイオティクスを化粧品に配合し、ビューティとウエルネスを掛け合わせたコンセプトで人気を集めてきた。また広告ビジュアルはレタッチをしないことを掲げるなど、“ポジティブ”なビューティブランドとしても支持されている。これはダイバーシティーやインクルージョンをうたうP&Gの「リスポンシブル ビューティ プラットフォーム(RESPONSIBLE BEAUTY PLATFORM)」の価値観と共通しており、マーカス・ストローベル(Markus Strobel)=P&Gグローバルスキン&パーソナルケア・プレジデントは「ホリスティックなウエルネスと肌の健康を追求し、内外ビューティをうたうコンセプトはとても魅力的に感じた」とコメント。スキンケア製品が主軸だが、ボディーケアやメイクアップ、インナービューティ商材もそろえる。D2Cブランドとしても成長し、売り上げの約半分はD2Cチャネルからなる。顧客層の75%が35歳以下で、ミレニアル世代が中心だ。現在グローバル展開を進めており、昨年8月にはカナダのセフォラ(SEPHORA)に進出した。

 P&Gは昨年11月にナチュラル系のプレステージスキンケアブランド「ファマシー(FARMACY)」を、12月にはセレブヘアスタイリストが手掛けるプレステージヘアケアブランド「ウェイ(OUAI)」を傘下に収めた。そのほかプレステージスキンケアブランド「SK-II」と「ファースト エイド ビューティ(FIRST AID BEAUTY)」を擁しており、近年プレステージブランドのポートフォリオを拡充している。ロレアル(L'OREAL)やエスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)といった競合大手に迫る勢いだ。ストローベル=プレジデントは「プレステージビューティ市場は2ケタ伸長しており、われわれも戦略的なチャネルと捉えている。われわれが強みとするスキンケア、ヘアケア、パーソナルケア分野において、効果実感が高いブランドを傘下に迎え入れている」と話す。

 「トゥラ スキンケア」の2021年の売り上げは1億5000万ドル(約172億円)にのぼるとされ、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)系列の投資会社、Lキャタルトン(L CATTERTON)が出資している。

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