年が変わって、デニムはさらにトレンドアイテムとしての存在感を増しそうです。中でも注目株は、バギーとローライズ。1990~2000年代初頭に盛り上がったデニムが、“Y2K(Year 2000)” ファッションとして、Z世代を中心に再燃しています。ゆるっとしたシルエットでありながら、だらしなく見せない“脱ストリート”が22年流。キュートなデザインやきれいめのトップスでボトムスとのムードをずらした“こなればき”もおすすめです。最新の着こなしのお手本を、2022年春夏コレクションのランウエイルックから見つけました。
「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」の“サロン 03”コレクションは、上下をローデニムでまとめた“デニムonデニム”ルックを披露。おへそがチラリとのぞくローライズと、ジャケットの裾を遊ばせた“三角窓”でヘルシーにお腹をチラ見せ。袖もまくり、さらにヌーディーに。真っ赤なリップや、ジューシーなオレンジのバッグと靴が差し色効果を発揮。ローデニムの濃いインディゴブルーを引き立てています。
ロマンチックなブラウスでかなえるレディーなデニムルック
ストリート感の強いデニムパンツですが、エレガントでレディーライクなトップスを選べば、意外なケミストリーを引き出してくれます。
「ヴァレンティノ(VALENTINO)」の22年春夏コレクションは、ゆったりしたデニムパンツに、花のコサージュで埋め尽くしたかのようなフェミニンなブラウスを合わせました。ブラウスのボタンを真ん中だけ留めて、さりげなくお腹ものぞかせています。ゴールドチェーンネックレスをはじめ、バッグやサンダルも全てゴールドでそろえている点も“Y2K”らしいアレンジです。
フリルやリボン、大襟など凝ったディテールのブラウスとバギーデニムの組み合わせは、ストリート×ラグジュアリーのミックステイストの鉄板です。
フェミニンなブラウスを生かして、たおやかなデニムルックに整えたのは、「ブルマリン(BLUMARINE)」。うっすらと素肌が透けるシフォン系の生地のロングブラウスで、ドレッシーな雰囲気をまといました。ラッフルがたっぷりあしらわれた優美なムードと、バギーデニムのたっぷりしたボリュームの相乗効果で、こなれた雰囲気に仕上がっています。
ひと味違う“デニムonデニム”で上級者コーデに
上下をデニムでそろえるセットアップはボーイッシュに映りがちですが、22年春夏の味付けは、“Y2K”も意識したフレッシュかつチャーミングな着こなし。ローライズを生かした“チラ腹見せ”もポイントです。
「MSGM」のデニムルックは、パフスリーブのトップスが鍵。見慣れたデニムジャケットやダンガリーシャツの武骨さとは真逆のキュートさを漂わせています。チューブトップ並みのショート丈なので、お腹見せもヘルシーな印象です。腰から上はガーリーに、腰から下はボーイッシュにといった“上下のジェンダーミックス”は、意外なずれ加減が魅力です。
定番ジャケット以外の羽織り物でも変化を呼び込めます。着丈の長いジレは、縦長のイメージを印象づけやすいアイテムです。
「コーチ(COACH)」が打ち出したのは、デニム素材のジレを生かした“デニム on デニム”のスタイリング。別布が当てられたポケット付きジレで、ノスタルジックなたたずまいに導きました。裾がフレアのデニムパンツは、ヒッピー時代のフラワーチルドレンもほうふつとさせます。
上下ビッグシルエットで華奢見えを実現
ゆったり幅のバギーパンツは、オーバーサイズのトップスやアウターともなじみます。全体をビッグシルエットでまとめることで、逆に着やせ効果を引き出すのが賢い着こなしです。
「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は、ざっくりした黒のトップスをバギーデニムにかぶせました。オーバーサイズで着丈も長めなので、自然な落ち感が備わり、のどかな印象に。靴に乗せた裾のたるみ加減が、バギーならではのダボッとした量感を印象づけ、リラクシングな着こなしに仕上がっています。上質なビッグバッグと、ピンクのポインテッドトゥの靴でアクセントも添えました。
チュニックの人気も盛り返しています。素肌との間に適度なスペースを保ってくれるので、汗ばむ季節でも爽やかに過ごせます。バギーパンツをかさばって見せない点でも重宝したいアイテムです。
「ピーター ドゥ(PETER DO)」は、オーバーサイズのチュニック風トップスがキーアイテム。クリスタル装飾が施された“格上チュニック”にあえて気負わないシルエットのバギーパンツを合わせることで、絶妙なエフォートレスルックにまとまっています。
久しぶりに復活したバギー&ローライズのデニムパンツ。こなれた印象が強いのに加え、華奢見えも叶うので、使わない手はありません。フォルムがゆるっとしているおかげで、お腹見せも嫌みがなく、かえってヘルシーな雰囲気に仕上がるのもバギー&ローライズならではの魅力。22年は脱・ストリートで、新しいデニムコーデを楽しんでみては。