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連載 小島健輔リポート

古着ブーム再来は本当か メジャー化に必要なこと【小島健輔リポート】

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ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。「メルカリ」に代表されるフリマアプリの浸透や、リユース店の出店拡大に伴い、古着マーケットが急速に成長している。古着ビジネスがさらに発展するために何が必要か。詳しく考察してみた。

 オミクロン株の急拡大でコロナ禍の収束が見えなくなり、常態の復活を期待していたファッション業界には大打撃となりそうだが、ようやくおこもり生活を脱しつつあった2022年の衣料消費はどうなるのだろうか。オシャレ大復活でY2Kなどニュートレンドが盛り上がるのか、はたまたTPOレスなルーズ服や精彩を欠く量産服が継続するのか、「古着ブーム」は本当に盛り上がるのだろうか……。

12月商戦は活況だったのか?

 コロナが一時収束して緊急事態宣言も解除された10〜12月は消費が回復し、12月商戦は活況が伝えられたが、衣料販売は回復が鈍かった。

 11月の全国百貨店売り上げは前年比8.1%増、同衣料品は10.4%増だったが、コロナ前19年比では92.6、衣料品は86.8と届かず、消費税増税前の18年比では87.0、衣料品は79.3と「回復」には遠かった。12月の大手百貨店既存店売り上げは三越伊勢丹が14.0%増、大丸松坂屋百貨店が13.7%増、阪急阪神百貨店が15.9%増、高島屋も9.9%増と好調が伝えられたが、19年比ではそれぞれ98.0、93.5、96.8、97.4と届かず、18年比では93.4、90.0、92.3、92.6と回復には遠い。各社とも国内客売り上げは回復してもインバウンドの消失を埋めきれず、高額ブランドが伸びても衣料品の回復は鈍かった。

 大手アパレルチェーンの12月既存店売り上げも、前年が好調だったユニクロ、ワークマン、西松屋、良品計画を除き前年を超えたが、19年を超えたのはしまむら(112.9)、西松屋(111.0)、ワークマン(104.4)の生活圏御三家、良品計画(107.5、但し衣料品は99.1)、ハニーズ(104.0)、TOKYOBASE(100.9)、ナルミヤインターナショナル(100.9)までで、ユニクロは94.4、アダストリアは91.2、ユナイテッドアローズは83.6、ワールドは81.3と回復には遠かった(以上は11日までの発表)。

 経済産業省の商業動態統計はまだ11月までしか発表されていないが、小売業全体は1.9%増で19年比でも7.9%増だったが、衣服・身の回り品小売業は2.2%増でも19年比では88.0に留まる。20年に3.3%減少した小売業全体は通年で19年の水準を回復したと推計されるが、16.8%も減少した衣服・身の回り品小売業は回復には遠い。新品衣料の売り上げは厳しいが、中古衣料の売り上げはどうだろうか。

リユース市場は拡大を加速

 「リサイクル通信」によれば、20年の衣料・服飾品(高級ブランドを除く)リユース販売額は前年から11.1%伸びて4010億円と大台に乗った。年々の伸び率は振れが大きいが、16年の1869億円からは2.15倍に拡大している。「衣料・身の回り品」小売売り上げに占める割合も16年の1.7%から20年には4.6%に急伸し、21年は5.5%まで拡大するとみられる。これは金額ベースの比率であり、平均して新品の3割程度の売価と見た(新品も平均2割引購入と見て)数量ベースでは15%に迫るから、もう立派なメジャービジネスだ。

 決算を公表しているリユースの上場企業はゲオホールディングスぐらいしか見当たらないが、レンタルやメディアのリユースを除いたリユース商品売り上げ(「セカンドストリート」が中核)は21年3月期で16.0%増、22年3月期も第1四半期が46.2%増、第2四半期が40.7%増と今期に入っての加速が目立つ。

 古着は先進国から放出され途上国に流れる国際商品であり、1人当たりGDPが4万ドル以上の国から2万ドル以下の国に流れるとされるが、日が沈むわが国は4万1775ドル(20年)と瀬戸際で、非正規就業者や母子家庭、学生の多くは2万ドルに届かない途上国的生活水準にある。コロナ禍で低所得層への転落も増えているから、日本の半分は古着を輸入する途上国状態になっていると思われる。

 それを裏付けるのが中古衣類の輸入量急増だ。コロナ禍の20年は営業の制約や物流の混乱で6270トンと前年から6.0%落ち込んだが、21年は11月までの累計で7845トンと急増しており、このペースだと通年は8747トンと、前回ブームピークの8082トン(05年)を超えて記録を塗り替えることになりそうだ。需要の急増に連れ単価も上昇しており、11月までで877円/kgと前年の725円から21%も高騰している。

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