前編でも述べたように、私は昔から古着に慣れ親しんできたが、私の親はそうではない。どちらかと言えば、古着には抵抗感があるようだ。「臭い」「気持ち悪い」「ビンボーの証」。この3点は、彼らの世代観だと思っている。彼らが悪いのではなく、育った環境や時代で価値観は異なるのだから仕方がない。「臭い」「気持ち悪い」「ビンボーの証」が彼らの「買わないポイント」なら、反対に「買うポイント」はなんなのだろう?「臭い」「気持ち悪い」「ビンボーの証」の反対に相当する「新しい」「清潔」「高級感」がピッタリだろう。「新しい」「清潔」「高級感」は、食品ロスの問題にもピタリ当てはまる。少しでも色・形が従来の美しさに当てはまらないと購買意欲が湧かないのだ。
ヒヤリングを重ねると、「独特の匂いがする」から古着を選べない人は多い。実際、私も古着屋に入ると独特の香りを感じるが、同じような香りは生地の製作現場や縫製工場にも漂っている。私自身は結構気に入っているが、この香りを改善できたら、古着はもっと広がるのではないか?香りの専門家と話してみたい。
同時に興味深かったのは、「リメイク」という言葉は、“アンチ・リユース・ユーザー”も好意的に捉えるようだ。古着は違っても、「リメイク」には価値があると評価する声は多い。実際、私のブランド「パスカル マリエ デマレ(PASCAL MARIE DESMARAIS)」も古着をリメイクしているが、購入者は「新しいアイテム」として喜んでくださっている印象だ。作っている我々にも「古着を売っている」という感覚はない。ちなみに、商品にはもう独特の匂いも存在しない。
高額で売り買いされるリメイクブランドは、私が若い頃夢中になった「ワット・ゴーズ・アラウンド・カムズ・アラウンド(WHAT GOES AROUND COMES AROUND)」や「レディメイド(READYMADE)」、ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)の甥であるグレッグ・ローレン(Greg Lauren)が2011年にスタートした「グレッグ ローレン」など、国内外で評価が高い。いずれも古着ブランドではなく、もはやアートピースとして、一点モノとして愛されている。
だからこそ「リメイク」は、普段は古着を好まないユーザーにも親和性が高いのではないか?そこには確固たるセンスが必要だし、誰にもできるワケではないが、今後も注目していきたい。