サザビーリーグといえば、ファッション&ライフスタイル業界を代表する目利き企業だ。今では一般化した雑貨とカフェの複合業態「アフタヌーンティー(AFTERNOON TEA)」を1980年代に仕掛け、90年代には米「スターバックス コーヒー(STARBUCKS COFFEE)」を日本に導入。2000年代には米西海岸発のライフスタイル店「ロンハーマン(RON HERMAN)」で大ブームを巻き起こした。コロナ禍を受け、21年3月期の連結売上高は前期比24.2%減の851億円だったものの、「ロンハーマン」のサステナビリティの取り組みなどで、引き続き業界や世の中の“半歩先”を行っている。16年から同社を率いる角田良太社長に聞いた。
WWD:1972年に鈴木陸三氏が家具の輸入で創業してから、今年で50周年を迎える。変わらない部分、変わった部分は何か。
角田良太サザビーリーグ社長(以下、角田):創業当時から、世の中に対し何らかの形で半歩先の提案がしたいという思いでやってきた。時代が変わっていく中でも、われわれは次の時代に合った半歩先を生み出していく。それがサザビーリーグのミッションであり、変わらない部分だ。われわれが行っているのはブランドビジネス。ブランドを軸にした新しい提案として、「スターバックス」「アニエスベー(AGNES B.)」「シェイク シャック(SHAKE SHACK)」のように、海外のものを日本に持って来たこともあったし、「アフタヌーンティー」「アガット(AGETE)」のように独自で立ち上げたものもある。ただ、そうしたやり方のみでは、今後は新しいものを生むのが難しい。これだけ情報化された世界では、次の種を見つけるためには外部とタッグを組んだり、投資をしたりといったようなことも必要になる。既存事業とのシナジーを生むためにも、やり方や領域は従来よりも広げていく。
WWD:積極的にM&Aを仕掛けていくということか。
角田:具体的に今M&Aの計画があるというわけではなく、今後は手段としてそういうことも考えるという意味だ。一例として、食物販の「アコメヤ トウキョウ(AKOMEYA TOKYO)」は丸の内キャピタルから出資を受け、22年4月から合弁会社で運営する(出資比率は丸の内キャピタルが51%)。食物販はわれわれにとって新分野であり、ビジネスとして成立させるためにはある程度の規模にする必要があった。丸の内キャピタルは成城石井やエムアイフードスタイル(「クイーンズ伊勢丹」の運営会社)への投資経験があり、食物販のノウハウがわれわれ以上に豊富だ。食物販だけでなく、AI(人工知能)やフィンテックなどの分野でも、専門的なノウハウを持つ外部と組んでいくことがスピード感を含めて求められている。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。