ファッション

「サンローラン」2016年春夏パリ・コレクション

REPORT

次のフェスにはバンダナ代わりにティアラでゴー!

サンローラン(SAINT LAURENT)」は、今季も音楽との関係性が濃厚だ。インディーズバンドによるオリジナル曲のループを聞いていると、目の前には野外フェスの光景が広がってくる。華奢なストラップのミニドレスに足元は濡れてもOKなゴムの“フェスティバル”ブーツ。夜はボーイフレンドのジャケットやライダースを羽織り、額にはバンダナの代わりにティアラをちょこんと載せて踊る、といった具合だ。

 インスピレーションの一つは、1990年代のケイト・モス。ハイウエストのデニムにテロンとした白いタンクトップ、ビンテージ調のファーやアニマルモチーフは、赤いリップにタバコをくゆらす若かりし日のケイト・モスをほうふつとさせる。さらに時代を遡れば、今夏パリで展覧会も開催された70年代前半のムッシュ・サンローランの姿、スキャンダラスでスタイルアイコンだったその姿へと結びつく。

 そんなフレッシュなイメージがある一方で、パリのオートクチュールメゾンとしての原点も今季の重要な要素の一つ。“スキン”をキーワードに、スモーキングとジャケットと並ぶメゾンのアイコンであるシフォンのクチュールドレスの素肌感にフォーカス。肌が透けるランジェリーのようなレースのミニドレスをたくさん登場させたほか、ショーの後半は26ルックものフルレングスドレスを並べた。

 「サンローラン」は今年7月、セーヌ河左岸にオートクチュールアトリエを完成させ“エディ・スリマンの親しい友人のためだけに作る”超エクスクルーシブなライン「イヴ・サンローラン」を復活させたばかり。エディがメゾンの原点であるオートクチュール復活への駒を着々と進めていることが分かる。

 他に登場したアイテムは、もはや定番と言えるアイテムばかり。店頭でも人気のレザーのライダースやトレンチコート、ジップアップブルゾン、ボーイフレンド・ジャケットにハイウエストのパンツ。それらを少しずつアップデートしている。
ここまでくるといつも同じだが、いや、同じだからこそ、強い。ループする音楽を聴き続けていると中毒症状にかかってくるように、エディが批判を浴びても繰り返しメゾンのルーツに根ざしたスタイルを続けてきたことで、スキャンダラスだった頃の「サンローラン」のイメージを復活させ、現代の若い層の間での認知がアップ。結果、店頭での売り上げにもつながっている。バッグはヒットアイテム“ダッフル”に続く、使い勝手の良い新ライン“リヴ・ゴーシュ”を投入するなど手堅い。賛否両論の嵐を経て、時代は再びエディの手中に収まりつつあるようだ。

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