ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)は、世界初となるコットン素材の高機能ポロシャツ“クララス(R) RLX(CLARUS(R) RLX)”を2022年1月の全豪オープンテニスで披露した。“クララス(R) RLX”は、全豪オープンのエキシビションマッチで選手が着用するほか、全豪オープンの会場で先行販売した後、2月には「ラルフ ローレン」の公式ウェブサイトや一部の店舗で取り扱う。まずはメンズモデルを発売し、1カ月後にウィメンズモデルも登場する予定。価格は168ドル(約1万9152円)。
ポロシャツの生地は、同社が8月に少数株主として出資したサステナブルな素材開発を行う米国のスタートアップ企業ナチュラル・ファイバー・ウェールディング(NATURAL FIBER WELDING、以下NFW)が開発したもの。NFWは、綿くずなどの天然繊維を特許取得済みの高性能素材に再利用することに取り組む。リサイクルコットンは通常、リサイクルの工程で繊維が短くなるため耐久性に課題がある。しかし、NFWは短い繊維同士をつなぎ合わせて、高性能なコットン糸を作るプロセスを開発した。この特許技術は、コットンの着心地の良さや通気性を保ちながら、吸湿速乾性といった機能性を兼ね備える。生地はあらゆる天然繊維を用いて作ることができ、ポリエステルやナイロンといった石油由来の合成繊維と同等の機能性を発揮する。
本製品を紹介するため、オーストラリアの元テニス選手のサム・グロス(Sam Groth)と、オーストラリアのプロサッカー選手で熱心なテニスファンでもあるジョシュ・カヴァッロ(Josh Cavallo)が、大会期間中にイベントを開催する予定だ。カヴァッロは、「毎日練習するプロのアスリートにとって、スタイリッシュで高機能、気温の高い日でも快適でいられ、かつ持続可能なスピリットで作られている100%コットンのシャツを着られることは非常に嬉しい」とコメントした。
デイビッド・ローレン(David Lauren)=ラルフ ローレン チーフ ブランディング&イノベーション オフィサーは、「『ラルフ ローレン』は時代を超えたタイムレスなブランドで知られている。50年以上もタイムレスであり続けるという事は、伝統を学び、パイオニア的イノベーションを育てることを意味する。当社のもっともアイコニックな商品であるポロシャツで、業界を変えうると同時にスケール可能なテキスタイル技術、つまり天然繊維で作られた高機能商品を初めて世に送り出すことができた」とコメントした。
NFWのルーク・ハヴェラール(Luke Haverhals)創業者兼CEOは、「このコラボレーションを通じ、プラスチック原料の合成繊維と同等の機能性素材を生み出すことで、完全なる循環性への道を切り開くことができる。廃棄物を減らし、合成プラスチックの必要性をなくすと同時に、天然素材による高性能商品を実現する全く新しいシステムを開拓できる」とコメントした。
ローレン=チーフ ブランディング&イノベーション オフィサーは、「“クララス(R) RLX”のコットンは、“アース ポロ”に使われているリサイクルポリエステルよりも丈夫で柔らかく、洗濯するたびに肌触りがよくなり、フィット感が持続し、色持ちもとてもよい」と説明する。現在、同社のほかの商品でNFWの生地は使用されていないが、「これから実証テストを実施し、市場の反応を見る。おそらく1年か2年後には、ほかの商品にも使われるだろう」と言う。
ラルフ ローレンは2025年までに、コットンを含む主要素材の100%を持続可能な方法で調達し、廃棄物ゼロの原則を事業全体で共有する方針を掲げる。“クララス(R) RLX”は、そうした同社の方針に基づく最新の取り組みだ。NFWとのパートナーシップにより、非生分解性の合成繊維への依存を減らすことが可能となる。
ローレン=チーフ ブランディング&イノベーション オフィサーは、「これはただの1枚のシャツの話ではない。私たちは通常、単一の商品を宣伝することはない。しかし、これはクラフトマンシップを再考し、新しい価値観を生み出すためのプロトタイプなのだ。コットンでこれができるのだから、私たちの未来には無限の可能性がある」と強調した。