毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年1月24日号からの抜粋です)
村上:今どきの若い富裕層がどんなモノやコト、サービスを求めているのかが分かると、ラグジュアリーブランドや百貨店のビジネスヒントになりそう。学びのある特集になりましたね。
益成:はい。平山美春さんには毎月の連載でもどこで、何を買ったのかを聞いていますが、これまでそういったことをオープンに語ってくれる富裕層っていなかったと思うんです。そういった意味でも新しい世代だなと思いますし、今回の特集では友人の渡辺沙耶子さんとの対談の中で、買い物の先にある価値まで語ってもらえたと思います。
村上:対談では何が印象的でしたか?
益成:二人とも、とてもオープンで、自分は価値があると思うものに積極的にお金を使いますし、幅広く関心を持っていて、感心しました。ショッピングに関わる人にも感謝や敬意を持って接していますね。
村上:僕もブランドの上顧客向けイベントで歴史やデザイナーについて語る機会があるけれど、今の富裕層は「所有する」だけでなく、それを持つことの「意味」にも興味を持っていますよね。知的好奇心をどれだけ喚起できるかが大事で、「御用聞き」とは違う対等な関係性が求められていると感じました。
益成:伊勢丹の外商の吉村朋代さんにも「御用聞き」という感じは全くありません。平山さんと同じ価値観でモノが見られるようにアンテナを張って努力しているそうです。
村上:ブランドには、「競合ブランドやファッション業界、世の中について、お客さまと対等に会話できるスタッフが少ない」と悩んでいる人が少なくない印象です。そんな悩みを解決するセミナーを求められる機会が増えました。商品が持つ価値や意味を伝える上でも、対等な関係を築く上でも、店頭のスタッフのアップデートが急務になっていますね。吉村さんは伊勢丹の枠を超えた情報や視点を持って、接客されているんでしょうね。
益成:はい。その上でさらに的確な提案ができるから、平山さんも全面的に信頼しているようです。欲しいものを欲しいときに提案する、無駄がないというのも大きなポイントです。