2022年1月1日、「廃棄禁止及びサーキュラーエコノミーに関する法律」がフランスで施行された。同法律は20年2月に議会で採択されたものだ。
この法律によって、生鮮食品や新聞・雑誌のプラスチック包装の禁止や再利用を支援するパブリック・ファンドの創設が定められたほか、商品が与える環境への影響を明示する表示義務や食品以外の売れ残り品の廃棄を原則として禁止すること定めている。違反した場合は1万5000ユーロ(約195万円)の罰金が科される。
フランスの百貨店ギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)およびBHVのCSRディレクター、ダミアン・ペレ(Damien Pelle)は、「ブランドにとって在庫処分は絶対的な失敗であり、経済的な合理性もない」とコメントする。フランス環境エネルギー管理庁(ADEME)が発表した最近の調査で、2019年に売れ残ったファッションアイテムの小売価格は推定17億ユーロ(約2210億円)、業界の売上の4.1%に相当する結果が出たことを付け加えた。
この調査結果によると、廃棄に至るのはたった5%で、23%がオフプライスで販売され、20%がチャリティ名目で寄付、約10%が修理・リサイクルに回されているという。しかし、ADEMEが公表する別の統計によると、新品の繊維製品の廃棄量は毎年1万~2万トンに上り、これはエッフェル塔2本分の重さに相当するという。
この法律の施行を業界にとって前向きな変化ととらえる関係者がいる一方、「(採択されてから施行まで)2年という期間は、すべての法的要件を満たすにはあまりにも時間がない。特に1月1日に施行されるはずの法令が(取材時点で)まだ発表されていない」(仏プレタポルテ連盟のピエール=フランソワ・ル・ルエ会長(Pierre-François Le Louet))と企業側に与えられた準備期間の短さを懸念する声もある。