「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズの連載「考えたい言葉」は、2週間に1回、同期の若手2人がファッション&ビューティ業界で当たり前に使われている言葉について対話します。担当する2人は普段から“当たり前”について疑問を持ち、深く考え、先輩たちからはきっと「めんどうくさい」と思われているだろうな……とビビりつつも、それでも「メディアでは、より良い社会のための言葉を使っていきたい」と思考を続けます。第10弾は、【ベジタリアン/ビーガン】をテーマに語り合いました。「WWDJAPAN.com」では、2人が対話して見出した言葉の意味を、あくまで1つの考えとして紹介します。
ポッドキャスト配信者
ソーンマヤ:She/Her。入社2年目の翻訳担当。日本の高校を卒業後、オランダのライデン大学に進学して考古学を主専攻に、アムステルダム大学でジェンダー学を副専攻する。今ある社会のあり方を探求すべく勉強を開始したものの、「そもそもこれまで習ってきた歴史観は、どの視点から語られているものなのだろう?」と疑問を持ち、ジェンダー考古学をテーマに研究を進めた。「WWDJAPAN」では翻訳をメインに、メディアの力を通して物事を見る視点を増やせるような記事づくりに励む
佐立武士(さだち・たけし):He/Him。入社2年目、ソーシャルエディター。幼少期をアメリカ・コネチカット州で過ごし、その後は日本とアメリカの高校に通う。早稲田大学国際教養学部を卒業し、新卒でINFASパブリケーションズに入社。在学中はジェンダーとポストコロニアリズムに焦点を置き、ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院に留学。学業の傍ら、当事者としてLGBTQ+ウエブメディアでライターをしていた。現在は「WWDJAPAN」のソーシャルメディアとユース向けのコンテンツに注力する。ニックネームはディラン
若手2人が考える【ベジタリアン/ビーガン】
牛豚鳥や魚類の肉などの動物性食品を避けた食生活をおくるのが「ベジタリアン(Vegetarian)」で、それに加えて「ビーガン(Vegan)」は、卵や乳製品、はちみつといった動物から得られる食材を避け、レザーやファーなどといった動物性の素材も身につけない生き方を指す。できる限り動物性の食事をしない、アイテムを持たない、動物に害のある生産過程を経たものを搾取しないことを目標としている。
「ベジタリアン」や「ビーガン」になる主な理由は3つある。1つ目は、環境保全・サステナビリティのため。畜産農業によるメタンガスの排出量や森林伐採の環境的問題や飢餓問題に対するアプローチ、あまりにも“効率的に”動物性の食物や素材を得ることのみが優先され、仕組み化された畜産農業の現状を「持続可能ではない」と受け止めた考えだ。2つ目は、動物の福祉のため。動物を犠牲にした素材や食品の採取に抗議する、エシカルなもの。3つ目は美容や健康のため。栄養学に関する研究は食習慣以外にも個人の生活環境などその他の要因が影響し合っていることは念頭に置かれるべきだが、食生活の一種の選択として取り入れる人もいる。
ファッションでは、「ビーガンレザー」や「エコファー」といった、動物から得られる素材を使用しない新素材が注目を集めている。動物性でないものには安価で多く生産できる石油由来の合皮もあるが、これらは環境問題へのアプローチとしては疑問視されることも多い。その点も踏まえ、完全に植物由来にしたり耐久性を高めたりして、よりサステナブルなものを生み出そうと挑戦する、パイナップルの葉やサボテン、キノコの菌などを使った人口レザーの開発が進んでいる。ビューティ製品における「ビーガン」は、はちみつやコラーゲンといった動物性成分を使用しないことや、動物実験を行っていないことが鍵となる。
【ポッドキャスト】
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