ファッション

フルーツ大福「弁才天」の社長は古着屋の経営者だった 弁才天の株は売却して新事業も構想中

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 愛知県名古屋市覚王山発祥のフルーツ大福「弁才天」は、フランチャイズ(以下、FC)改め「暖簾分け」制度の導入も手伝い、2019年10月の1号店オープンからわずか2年半で全国に70余店を展開。大きなフルーツをイチゴなら丸ごと一個くるんだ大福は、果物本来の風味を邪魔しない味や“萌え断”で有名だ。一方、同社の大野淳平社長が、実は古着屋「シープ ヴィンテージ(SHEEP VINTAGE)」を経営していることは、あまり知られていない。そしてさらに弁才天の株式の多くを売却し、新機軸に挑もうとしていることは、もっと知られていない。ビジネスセンスと人懐っこさを備える大野社長を紹介する。

 大野社長は、遊べる本屋の「ヴィレッジヴァンガード(VILLAGE VANGUARD)」が生まれた名古屋市天白区植田で育ち、カルチャーにどっぷりハマって明治大学に進学。大学時代は「何者かになれるんじゃないか?」と考えてバンド活動にのめり込んだが、行動しないから何者にもなれず、「ハイエースに荷物を詰み、涙を流しながら地元に戻った」という。

 最初にビジネスセンスの片鱗を見せたのは、広告代理店での営業制作の仕事だった。小売店のオーナーという「周りが反対意見を出してくれない人」に進言し、自分の周りのカルチャー系の友人とクリエイティブを作るのは楽しく、結果も伴って年収は倍々ペースで増加したが、会社の意向とクライアントの利益の狭間で揺れたり、そんなクライアントの商売も「店名からやり直したい」と思う機会が増えたりで退職。以降は起業家として立ち飲み屋やコーヒーショップ、シェアオフィスなど、さまざまなビジネスを立ち上げたが、いずれも長くは続かなかった。見た目先行のガストロノミーは、当初「食べログ」で3.9くらいの高評価を得たが、「半年後には誰も来なくなった」。その一方で周りには「美味しくても潰れる店がある」。ビジネスには、プロダクトとプロモーションの双方が必要と痛感したという。

「先人が切り開いた」大須ではなく
パルコやラシックの栄で古着屋を成功

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