三越伊勢丹ホールディングス(HD)の2021年4〜12月期は、本業のもうけを表す営業損益が30億円の黒字で、前年同期(148億円の営業赤字)から大きく改善した。10月以降の百貨店業の回復や経費削減が利益を押し上げた。なお、同社は今期決算から、会計上の新収益認識基準を適用している。小売業の売上高に相当する総額売上高は6814億円(同基準での比較では前年同期比790億円増)、純損益は9億円の黒字(前年同期は365億円の赤字)だった。
10〜12月期の営業損益は107億円の黒字。同期間で営業利益が100億円を超えたのは、コロナ禍以前の18年以来となる。百貨店セグメントでの営業利益は64億円で、これは19年同期間以来の黒字。緊急事態宣言の解除(10月1日)以降、伊勢丹新宿本店や三越銀座店など首都圏店舗の売り上げが回復した。販管費などの経費は、前年から計153億円分を削減した。
22年3月期の通期予想は、足元の感染拡大状況を踏まえ、11月に発表した売上高計画を下方修正する。総額売上高は11月計画から220億円減の9230億円を予想する。一方、経費構造改革のさらなる推進や、3月末に予定する新宿区の固定資産売却(売却益49億円)などにより、営業利益30億円の計画は据え置き、純利益は40億円積み増して70億円を予想する。