ラグジュアリーECのファーフェッチ(FARFETCH)がビューティECのヴァイオレット グレー(VIOLET GREY)を買収する。買収額は非公表。今年中にローンチ予定のビューティ事業に先駆けての買収だ。ヴァイオレット グレーは独立して経営するほか、カサンドラ・グレー(Cassandra Grey)創業者は今後ファーフェッチのビューティのグローバルアドバイザーに就任し、ファーフェッチの子会社であるニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP)のビューティ事業、NGGビューティ(NGG BEAUTY)の共同創設者になる。
ヴァイオレット グレーは2013年にカサンドラがスタート。元々はハリウッドのスタイリストやメイクアップアーティストなどが本気ですすめるビューティ製品を紹介するブログ「ザ ヴァイオレット ファイルズ(The Violet Files)」から派生した。「アウグスティヌス バーダー(AUGUSTINUS BADER)」や「ヴィントナーズ ドーター(VITNER'S DAUGHTER)」といったニッチなブランドをはやらせたほか、国内外のラグジュアリーブランドを多く販売し、ビューティ感度が高い層から支持を集めてきた。18年には資生堂が出資をし、話題となった。現在ECサイトに加え、ロサンゼルスに路面店を1店舗構える。
ビューティは3000億ドル(約34兆5000億円)からなるパーソナルラグジュアリーグッズ市場の大きなシェアを占め、今後ファーフェッチは同市場を開拓していく狙いだ。ステファニー・フェア(Stephanie Phair)=ファーフェッチ チーフ・カスタマー・オフィサー(CCO)は「消費者は自由に個性を表現するために、自分自身で(ファッション)ブランドを選びたがっている。ビューティでも同様で、ファーフェッチは(さまざまなブランドを集めることにより)それを提供できる場だ」と話す。15年に買収したファッションセレクトショップのブラウンズ(BROWNS)同様に、今後ヴァイオレット グレーにはファーフェッチ独自のデジタルのノウハウを注ぐ。ブランドと消費者をつなぐテクノロジーをフルに活用する予定だ。「ブランド側も卸からD2Cにシフトしつつある中、われわれのプラットフォームはその機会をビューティブランドに提供できる」。