「ピエール・カルダン(PIERRE CARDIN)」は1月28日、創業者のピエール・カルダン氏の一周忌に合わせて、同氏にオマージュを捧げるコレクションを発表した。
「ピエール・カルダン3022」と題した同コレクションのショーは、カルダン氏の親族であるロドリゴ・バジリカティ・カルダン(Rodrigo Basilicati-Cardin)が率いるデザインチームによって、パリ郊外のル・ブルジェ空港に隣接する国立航空宇宙博物館(National Air and Space Museum of France)にランウエイを設置。アリアン5(Ariane 5)ロケットのレプリカを添えた舞台で、全200ルックを発表した。2020年12月にカルダン氏が亡くなる前に残していたスケッチを元にしたルックも10着ほど登場した。
全体のテーマは、1967年にカルダン氏が発表した、“宇宙時代”を意識したデザインの「コスモコール」コレクションをインスピレーションとした。逆三角形の襟付きのジャケットやコート、ツートーンカラーのニットのオールインワン、宇宙飛行士のヘルメットをアクセサリーとしたドレスなど、SFテレビドラマシリーズ「スタートレック(Star Trek)」を彷彿とさせるルックをそろえた。
バジリカティ・カルダンはインタビューにて、「今シーズンのテーマは、宇宙。親愛なる大叔父に捧げるコレクションだ」と述べた。最後にカルダン氏と会った際は、イーロン・マスク(Elon Musk)の宇宙開発事業であるスペースX(SPACE X)が持つ宇宙船に4人の観光客が乗り込む様子を放送するテレビ番組を一緒に見たという。「宇宙はいつだって大叔父の目に輝かせてくれるものだった。唯一無二の“宇宙時代”のデザイナーだった」と語った。
「ピエール・カルダン」は今後5年間のうちに、ライセンスビジネスを強化して、利益を倍増させる目標を掲げている。2月中にブランド公式ウェブサイトをリニューアルし、ECをはじめとする多目的なオンラインプラットフォームとして使用する予定だ。また、パリの本社と店舗はリノベーションのために閉鎖中。本社は1階に約600平方メートルの博物館を新たに設立するという。改装中は、ウィメンズ・メンズをそれぞれ扱う店舗をオープンする。
同ブランドは決算情報を開示しておらず、バジリカティ・カルダンは2021年度の業績について「20年を上回った」と発言するにとどめた。同氏によれば、「ピエール・カルダン」はおよそ600のライセンス契約を締結しているが、それを大幅に見直したという。「過去5年間はライセンス事業がうまく管理されておらず、生産量が減少した。現在はコロナ禍にもかかわらず回復傾向にある」と述べた。
バジリカティ・カルダンによれば、カルダン氏のレガシーを次世代に引き継ぐため、同ブランドではアートやファッション系の大学などと提携しており、今回のショーでもゲストの約半数はファッション関連の学生だったという。なお、カルダン氏の生誕100周年となる22年7月2日にも、記念イベントを開催する予定となっている。