ユナイテッドアローズは、春夏物から一部の商品の値上げに踏み切る。主力業態である「ユナイテッドアローズ」「ビューティ&ユース」などを中心に、全体の2〜3割の商品で価格帯を10〜15%上げる。同社のオリジナル商品は継続品が少ないため、全く同じ商品の値段が上がるわけではないものの、綿やポリエステルなどの原材料費、主要生産国であるアジア諸国の工賃、物流費などの高騰を受けて見直しを迫られた格好だ。
4日にオンラインで行われた2021年4〜12月期決算説明会で、松崎善則社長が明らかにした。春夏物から秋冬物にかけて見直しを図る。パーツが多くて工程が複雑な防寒着などは値上げ幅が大きくなり、最大20%上げる商品もある。高単価の商品が主力の「ユナイテッドアローズ」や「ビューティ&ユース」の一部の商品が対象で、値ごろ感を売りにする「グリーンレーベルリラクシング」や「コーエン」は極力据え置く。
同社のオリジナル商品はシーズンごとにデザインや素材を変えるため、「同じ商品の一律値上げではない」(松崎社長)。春夏物では品番数を例年に比べて2割ほど絞り、その分、1点あたりの品質を高めるMDに切り替えた。価格帯が上がっても付加価値の高い商品を定価で売り、値引きを抑制することで全体の収益性を改善させる狙いだ。
食品や日用品の値上げが相次いでいるが、衣料品については現時点では限定的だ。ただ、綿花価格はコロナ以降に最大2倍、中国からのコンテナ輸送費(上海発北米航路)が1年前に比べて2.6倍に高騰するなど、企業努力で補える限界を超えている。継続品が多い「ユニクロ」も「(値上げは)避けられない局面」(ファーストリテイリング岡崎健取締役CFO)としている。
それでも衣料品市場の不振が続く中、値上げが消費者に受け入れられるか懸念する声が多い。「ユニクロ」や「無印良品」、あるいは下着や靴下などの専業メーカーは継続品が多いため、買い控えにつながりかねない値上げには特に慎重だ。ユナイテッドアローズのようにシーズンごとに商品を切り替えるファッションアパレルは、価格帯を上げると同時に商品クオリティも高めることで顧客をつなぎとめる方向に動きそうだ。