毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年2月7日号からの抜粋です)
美濃島:今季のメンズコレは、日本からの参加組もすごく面白かったですね。「メゾン ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)」「ダブレット(DOUBLET)」「キディル(KIDILL)」「ヨシオクボ(YOSHIOKUBO)」、どれも勢いがありました。コレクション自体も元気で明るくて、楽しみながら取材できました。
大塚:僕も取材したのは5本だったのに、東コレ1週間分を取材したような充実感でした。何が一番印象的でした?
美濃島:僕は「ミハラ」ですね。普通は、今この時期に街中でのショーはやりづらいと思うのですが、「日本でやる意味」を考えて自分のオリジンだった浅草の商店街を会場に選ぶとともに、「こんなふうに面白いことができる街なんだ」と世界にアピールしちゃう姿勢にすごく共感しました。さらに、そこでカッコつけるのではなく、三原(康裕)さん本人が警察官の格好で登場するなど、面白い演出に振り切ったのもスゴかったです。大塚さんはいかがでした?
大塚:僕は「ダブレット」かな。去年の時点で「来年はパリに行く」と聞いていたので、この感染拡大でどうするのかなと思っていたけれど、逆に「日本でのショーは今回が最後かも」という考えになったんじゃないかな。その考えはほかのブランドにも共通していたと思うんだけど、「ダブレット」は見事に盛大なお祭りだったね。何も知らされずに栃木まで行ったけれど、本当に価値があるものを見せてもらった。でも、「ダブレット」も「ミハラ」も服のことは一切覚えてなくて(笑)。それもリアルならではだったのかも。
美濃島:あと、初めて「ヨシオクボ」のショーを取材しましたが、音楽やモデルの動きを含めて、ルックでは分かりづらい要素がひしひしと伝わってきました。実際着るのは難しい服が多いかもしれないけど、表現したいものが明確で、心を揺さぶられました。
大塚:コロナ禍で映像を作るなどに挑戦したけれど、再生回数はなかなか得られなかったブランドが多かったと聞いています。やりたいことをやってしまえ!と振り切った結果が今回の日本のメンズコレだったんじゃないかな。久々にお祭り感があったし、ウェブ記事へのアクセスもすごくいいよね。今回の勢いみたいなものがパリでも発揮されるといいね。