北京冬季五輪で、開幕前から地元中国で熱狂的な支持を集めていたのが、フリースタイルスキー中国代表のアイリーン・グー(Eileen Gu、中国名は谷愛凌)選手だ。北京大会では3種目に出場するうち、8日にはビッグエアで下馬評通り1つ目の金メダルを獲得。残るスロープスタイル、ハーフパイプでもメダル獲得の期待がかかる。このグー選手、スーパーモデル並みのルックスでファッション業界から熱烈なラブコールが絶えず、既に「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」を始めさまざまなラグジュアリーブランドの広告に登場している。北京大会を機に、さらに存在感が強まりそうなグー選手って一体どんな人?
彼女のスポンサー企業には、ランジェリーの「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA’S SECRET)」、中国の2強スポーツメーカーのうちの一つ「アンタ(ANTA)」、アップル傘下のヘッドホン「ビーツ・バイ・ドクタードレ(BEATS BY DR.DRE)」などビッグネームがずらりと並ぶ。その中の一つ、エナジードリンク「レッドブル(RED BULL)」の公式サイトによれば、グー選手は2003年生まれの18歳。米国人の父親と中国人の母親を持ち、米サンフランシスコ生まれ。スキーを始めたのは3歳だ。15歳だった19年にスロープスタイルでワールドカップ初優勝し、アクションスポーツの世界最高峰の賞金大会「Xゲームズ」には21年に初参戦。スロープスタイルとハーフパイプでそれぞれ金メダル、ビッグエアで銅メダルを獲得した。同年の世界選手権でもスロープスタイルとハーフパイプで金メダル、ビッグエアで銅メダルを獲得している。
米国生まれの米国育ちで、幼いころから米国代表として活躍してきた。しかし19年に、母親の母国である中国籍に変更して北京冬季五輪に出場すると発表。それが中国では熱狂を呼ぶこととなり、同時に米国などのメディアでは批判的に報じられているケースも少なくない。また、競技だけでなく学業も非常に優秀で、高校を飛び級で卒業し、スタンフォード大学に合格しているのだという(競技に集中するため、入学は22年9月に延期)。
そんな、「天は二物も三物も与えた」を地で行くスーパーガールを、中国市場の存在感がますます大きくなっているラグジュアリーブランドが放っておくはずがない。グー選手は「ルイ・ヴィトン」のほか、「ティファニー(TIFFANY&CO.)」や「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」などの広告や動画に登場し、中国版「ヴォーグ(VOGUE)」や「エル(ELLE)」の紙面も飾っている。本人のインスタグラム投稿によれば、21年9月にはファッションの祭典メットガラにも参加済みだ。金メダルを手にし、名実ともに“スノープリンセス”(彼女の中国でのニックネーム)となったグー選手は、今後活躍の場をますます広げそうだ。