染色大手の小松マテーレは、ラッセル編みメーカーの吉田産業(福井県鯖江市)を子会社化する。吉田産業は、椅子や寝具のクッション材などに使用される立体的なラッセル編みなどを開発・生産しており、高い技術を生かした、ダブルラッセル編みによる“無縫製ニット”でも知られる。小松マテーレは合繊への高い加工技術で知られるが、これまでは織物が中心だった。卓越したラッセルレースの開発力を持つ吉田産業を傘下に収めることで、様々な染色加工技術を組み合わせた新基軸の商品開発に取り組む。
吉田産業の2021年4月期業績は売上高12億8500万円、営業利益1億6000万円、純利益1億1400万円に対し、純資産は7億6200万円、総資産は11億7200万円。売上高は半分弱が下着やアパレルなどの衣料向け、半分が産業資材という。小松マテーレは2月4日付で株式の80%を取得した。取得価額は非公表。
吉田産業は1963年創業で、下着やクッション材、スニーカーのアッパー材などにラッセルレースを展開。旭化成の開発したクッション材「フュージョン」なども生産している。2000年には、世界で初めて電子ジャカード式のダブルラッセル機を導入し、無縫製ニットの開発に成功するなど、技術力の高さには定評がある。同社のダブルラッセルの無縫製ニットは「ソマルタ(SOMARTA)」の廣川玉枝デザイナーなどに使用されている。
同様の“無縫製ニット”はイッセイミヤケがニッケン(三重県)と開発した「エイポック(A-POC)」、染色大手のセーレン、ラッセルカーテンのカズマが展開している。なお、横編み機大手の島精機製作所の無縫製ニット「ホールガーメント」とは機械の種類が異なる。