大手セレクトからD2Cブランドまで幅広く扱う国内最大級のファッションEC、ZOZOTOWN。そこで検索されたり、売れたりするアイテムはまさに最大の顧客層であるZ世代のトレンドを反映している。Z世代顧客の消費傾向やヒットアイテム、阪急うめだ本店で行った初のポップアップ開催などについてZOZOの本間聡EC事業本部ブランド営業二部ディレクターと結城春奈ブランド営業Fブロックブロック長に聞いた。
WWD:7〜12月の商戦を振り返ると?
結城:9月以降も気温が高い日が続いたため、ニットやコートなど秋冬商材の動き出しが遅かった。天気予報を常に気にしながら施策を検討するという日々が続いたが、10月上旬から気温が一気に低下し、秋冬商材も伸びて全体としては好調だった。1年で最も売り上げが大きい12月は、ギフト需要としても冬小物や新作の動きが良かった。
WWD: 7月中旬~9月末まで緊急事態宣言期間だったが前後の状況は?
結城:2020年3〜5月の緊急事態宣言期間とその後しばらくは、休業したリアル店舗分の在庫を売るためにZOZOTOWNを活用いただいた。また、お客さまの買いどころもECしかないため、その恩恵を受けていた。しかし在庫処分の値引きも多かったので、今季ブランドはそこを見直し、物作りを最適化し、定価販売に軸足を戻そうとしたように思う。21年9月の緊急事態宣言解除以降もZOZOTOWNのトラフィックに変化はないが、お客さまのお金の使いどころや使い方がより慎重になっている印象がある。ECで調べて店頭でも実際に商品を見てから購入するなど、場当たり的に買うことは減り、一つ一つ吟味して購入しているようだ。
WWD:好調アイテムは?
結城:20年はワンマイルウエアとしてスエットなど在宅時に楽な服装やアイテムが好まれた。またパジャマなどルームウエアも良く売れた。一方、21年10月以降は外に出る機会が増え、期待感や楽しみたいという思いから華やかなファッションが注目されている。女性はマーメイドスカートやワンピースのほか、ワンマイルウエアにプラスすることで、可愛く見えたり今までのスタンダードが少し変化したりするアイテムを選ぶ傾向に。付け襟やベスト、シースルートップスなどレイヤードを楽しもうという動きや、ワンポイントでおしゃれに気を使う流れも顕著だ。さらにグリーンやピンク、パープルなどビビッドカラー、ビタミンカラーも人気。以前はトップスに重きを置いていたが、下半期はパンツやスカートにも明るい色を選ぶ人が増加している。
WWD:好調なショップは?
結城:購入者が今ほしい商品を、インフルエンサーを交えて作りそれを分かりやすく伝達する手法のモノマート(MONO-MART)が好調。ファッションユーチューバーのげんじがディレクションを手掛ける「ウィム バイ リドム(WYM LIDNM)」は、前年に即完売したメンズのダウンジャケットをアップデートして爆売れ。税込7700円という価格の理由までわかりやすく伝えている点も支持された。ウィメンズでは「マルシャルテル(MARECHAL TERRE)」のダウンパーカが新しいタイプの薄手のダウンで人気だった。
また、今欲しいという実需に寄り添った商品がトレンドからスタンダードまで豊富にそろい、かつチャレンジしやすい価格との理由で「フリークスストア(FREAK'S STORE)」「クラシカルエルフ(CLASSICAL ELF)」も人気。そのほか、「トゥモローランド(TOMORROWLAND)」「アダム エ ロペ(ADAM ET ROPE)」といった多様な商品をそろえるブランドも高価格帯でありながらファッション好きを魅了している。メンズでは、インフルエンサーを起用して共感を得られるブランドが好調。メンズは大きなトレンドの変化がないため、より探求していいものを作るというインフルエンサーへの共感が購買につながるのではないか。
WWD:同期間に行った施策は?
本間:「YOUR BRAND PROJECT」として11月17日から6日間、阪急うめだ本店で初のポップアップショップを開催。13ブランドが集い、普段はオンライン限定で販売している商品を実際に手に取っていただくことで、より安心の購買体験を提供できた。女優・モデルの高橋愛が手がけるブランド「フクウ(FUKUU)」や、「イナフ(ENOF)」が好調で、「今までにない組み合わせで面白い」と反響も大きく、結果も良好だった。9月と10月には「トレンドワード企画」も実施。新作立ち上がりのタイミングにシーズンのトレンドワードに即したおすすめアイテムを紹介するもの。20年9月から実施する同企画は、ユーザーにとって新しい発見につながっており、定価販売の促進や将来的な買い上げに貢献している。
WWD:今後の目指すべき姿は?
本間:3月は、ハイブランドを集積したZOZOVILLAとコスメを集積したZOZOCOSMEオープンなどZOZOTOWNのウェブサイトとアプリの大幅リニューアルから1周年。限定品や新ブランドなど消費者が楽しめるコンテンツを提供し、盛り上げる予定だ。これまでは「ファッションを“買う”ならZOZO」にフォーカスしてきたが、今後はファッションに関する情報やソリューションを探したりするときに最初に頭に浮かぶ存在として「ファッションの“こと”ならZOZO」という位置を目指す。お客さまがさらにファッションを楽しんでいただくこと、そしてブランドと共にファッション業界を盛り上げていくことにもつながる。