資生堂は、ヘアサロン向けヘアケア剤、ヘアカラー剤などを日本とアジアで展開するプロフェッショナル事業をドイツのヘンケル社に売却する。譲渡額は123億円。ただし日本国内での関連資産を継承する資生堂プロフェッショナル(以下、SPI)の株式 20%を引き続き保有するほか、主力ブランドの「資生堂プロフェッショナル(SHISEIDO PROFESSIONAL)」はヘンケル社に商標権の使用をライセンスする。
プロフェッショナル事業は、1974 年に業務用品営業部から本格的にスタート。さまざまな買収・統合を経て、2004 年に資生堂プロフェッショナルを設立し、ヘアケア剤「サブリミック(SUBLIMIC)」、カラー剤「プリミエンス(PRIMIENCE)」、パーマ剤「クリスタライジング(CRYSTALLIZING)」、スタイリング剤「ステージワークス(STAGE WORKS)」など、ヘアサロンの業務用を中心としたブランドを展開してきた。2021年12月期の同事業の売上高は前期比23.4%増の158億円と好調に推移していたものの、資生堂グループが21〜23年で進める“スキンビューティーカンパニー”としての基盤作りによる、事業ポートフォリオを再構築の一環で譲渡することになった。
22年上期中に、会社分割により資生堂が日本国内で保有するプロフェッショナル事業の関連資産をSPIに承継した後、同社の株式の 80%をヘンケル社の子会社に譲渡する。さらに海外におけるプロフェッショナル事業の子会社株式および関連資産もヘンケル社グループ会社に譲渡する。
プロフェッショナル事業に従事する資生堂の従業員は基本的に SPI など譲渡先の会社に移籍し、新たなキャリアを目指す。
一方、ヘンケル社は 1876年に創業した、140年以上の歴史を有するグローバル企業で、接着技術事業やランドリー&ホームケア事業、ヘアサロン・コンシューマー向けヘア領域に強みを持つビューティーケア事業をグローバルに展開する。20年の売上高は 193億ユーロ(約2兆5000億円)。近年、ヘアサロン向けヘア領域の事業を欧州と米国において強化しており、欧米でのヘア領域の事業で豊富な実績を有するヘンケル社と、日本・アジアを中心として確立されたブランドを持つ資生堂のプロフェッショナル事業が統合することにより、グローバルな展開力が実現する。日本市場においては、事業規模や商品開発能力が拡大し、圧倒的な存在となることが期待される。