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美肌研究家ソンミの「ミース」が絶好調 「肌が変われば、世界が変わる」【ネクストリーダー2022】

 美肌研究家のソンミが2019年3月に立ち上げたスキンケアブランド「ミース(MEETH)」の勢いが止まらない。同ブランドは“美肌は最高のジュエリー”をコンセプトに誕生。「肌がきれいだと人生が変わる」というメッセージを発信し、美肌についてとことん追求したスキンケアをそろえる。国内外で展開するなど“美容通”からの支持も高く、右肩上がりで成長し続けている。今年はインナーケアに特化した食のブランド「アンドミール(&MEAL)」を本格的にスタート。「美肌に関係するもの以外は絶対に発売しない」と強い意思を持つソンミが、思い描く世界とは?

WWD:今年はブランド誕生から3周年を迎える。改めて「ミース」を立ち上げたきっかけは。

ソンミ・ミースCEO兼美肌研究家(以下、ソンミ):「ミース」は、自分のコンプレックスから誕生した。芸能活動をしていた20代の時は他の人と容姿を比べてしまうことが多く、自分の欠点に目が行きがちだった。コンプレックスを克服しようと努力するよりも、自分の魅力を磨くことの方が自信への近道だと思い、褒めてもらうことが多かった「肌」を磨くために、20代半ばから、デパートコスメからドラッグストアコスメまで千以上もの化粧品を試してみたり、多くの美容法を取り入れたりしてみた。とにかく“良さそう”と思うものはトライして、その中で自分が気になった製品は成分について製造元に問い合わせるなど、とにかく自分なりの美肌の研究に没頭していた。

WWD:気になるものがあればすぐ行動に移した。

ソンミ:本気で自分がおすすめしたい製品というのは片手に収まる程度だったが、それをSNSで紹介したら「同じものを使ったら肌がきれいになりました。本当に涙が出そうです。ありがとうございます」というメッセージをいただくようになった。良いと思ったモノを発信して喜んでもらえたことが、自分にとっても喜びであると感じた。30歳を目前に自分の肌が変わる中で、本当に使い続けたいと思うアイテムを作りたいと思い立ち、「ミース」を立ち上げた。

WWD:自己資金300万円を元手にスタートした。

ソンミ:ビジネスの勉強をしたわけでもなく、会社勤めの経験もない中、たった1人で始めたので不安しかなかった。ただ、当時から今も変わらず胸のなかにあるのは「人生が変わるような化粧品を作る」ということ。「肌」がきれいになると前向きになり、振る舞いも代わり、チャンスが生まれる。私自身「ミース」を始めて人生が変わったと思っている。この3年間はそれだけを追求して、とにかく無我夢中だった。

WWD:現在は12SKUをラインアップする。

ソンミ:炭酸ガスパックから始まり、クレンジング、オイル美容液、クリームなどスキンケア製品を揃えている。ブランドのアイコンでもある化粧水“モアリッチエッセンシャルローション”は嬉しいことに、昨年10月から北海道・岩内町のふるさと納税返礼品に採用されている。同化粧水は岩内町の海洋深層水をベースに製造していることから選んでいただいたが、申し込みが前年度比170%増だったと、町長さんから喜びのご連絡をいただいた。肌をきれいにしたいと思いながら作っていた製品が町おこしに繋がり、社会に貢献できるというのにスキンケアの可能性を感じた。

WWD:「ミース」は開発する製品によって工場を選定しているのも特徴だ。

ソンミ:自分の目で確かめたいので全ての工場に出向き、それぞれ得意分野が異なる工場から選んで取り引きしている。国内では6社と取り組んでいるが、「ミース」の強みである製品力をさらに高めるべく、韓国の江南区にブランド初となる化粧品開発研究所を昨年設立した。日本の繊細な技術は誇りに思いながらも、美容大国とも呼ばれている韓国の美容医療や研究も素晴らしい。日本と韓国の技術を融合しながら、美肌を追求するための商品を開発していく。

WWD:ファンの声を製品開発に生かすこともある。

ソンミ:「ミース」は自分のコンプレックスから始めたブランドであり、お客さまに寄り添いながらも自分が良いと思える製品を生み出してきたが、お客さまの悩みを解決する製品を作りたいという思いもあったため、2周年のタイミングで「商品企画プレゼン会議」を実施した。「ミース」のお客さまには、成分をも把握しているとても意識の高い方が多い。そういったお客さまが欲しいと思う商品をプレゼンしてもらい、採用された方と一緒に作るという企画で、その中で選ばれた方と一緒に、9カ月ほど毎月お会いして開発を進め、8割がた完成に近づいている。

WWD:新しいことに挑戦し続けている。

ソンミ:「肌」をきれいにするためなら、どんなことでもチャレンジしたいと考えている。ただ、化粧品だけでは限界がある。ある日、「ミース」を使っても肌の変化が感じられないというお客さまがいたのでヒアリングしたら、食生活が乱れていたことが分かった。その食生活を改善できない限り、スキンケアブランドになれないと強く感じた。スキンケアブランドとしての在り方を考え、内側からも外側からもサポートできるようになりたいと思い、栄養学の専門学校に通った。そこでドクターや栄養士、料理家など各分野のプロとの出会いがあり、協業してフード事業「アンドミール(&MEAL)」を立ち上げた。

WWD:「アンドミール」のこだわりは?

ソンミ:例えば、製造過程では添加物を使いたくなかった。肉の挽き方や野菜の洗い方一つをとっても自分のこだわりが強すぎて、受け入れてくれる工場が見つからなかった。さすがに断られ続けたので、断念しようとも思ったが、それだと“スキンケアブランド”ではなくなると思い、人生をかけて、自分たちで製造から配送までしようと決意し、自社工場をゼロから作り上げた。最初はEC販売で、人の体が変わると言われる7日間分のスープセット(7食)と、オートミールのクッキーを用意する。

WWD:本気度がうかがえる。

ソンミ:私たちは「おいしいだけ」のブランドではなく、「体や肌に優しい」だけのブランドでもない。「肌がきれいになる」ことは「体が健やかになる」ことだ。全てを掛け合わせて展開するのが「アンドミール」。マインドが変わると行動が変わり、それが習慣になり、結果、肌がきれいになることにつながると思っている。「ミース」も「アンドミール」も、ただ商品を販売して終わりではなく、美肌になった先まで想像してもらえるようなブランドにしたい。販売だけではなく、その先につながるようSNSでのコミュニケーションにも注力する。まずは、食の大切さを多くの方に知ってもらうことを使命とし、ゆくゆくはショップをオープンしたいと考えている。

WWD:今後「ミース」も店舗を増やしていくのか?

ソンミ:昨年は定期的に百貨店でポップアップを開催し、常設のお話もいただいたが、「ミース」はお客さまとの信頼で繋がっているので、国内においては、自分の目が行き届く範囲かつ、しっかりと接客ができてブランドの世界観を守れる範囲でとどめておきたいと今の時点では思っている。一方でお客さまの利便性を高めるために、ショールーミングストアの「ミース タッチアップ ラボ (meeth touch up lab)」(東京・表参道)では、2月に製品の販売を開始した。自分の経験からゆっくり製品を知っていただける場所にしたいという思いがあり、お客さまご自身のタイミングでECで購入いただくという形態をとっていた。しかし、初めて来店されたお客さまから「ラボで体験した製品をそのまま購入したい」という声が多かったので店頭販売を決めた。ただ、肌診断機を使ったカウンセリングやアドバイスなどラボとしての役割は変えない。

WWD:海外展開は?

ソンミ:中国、台湾、ロシア、ベトナム、韓国、シンガポールで販売している。海外の売り上げ構成比率は3割で、特に台湾では20年に“モアリッチパック”が台湾の美容大賞である「女人我最大賞」パック部門で大賞受賞し、翌年はボディケア部門で「総合ボディオイル賞」を受賞するなど、日本に次いで好調に推移している。今年1月には、海外初の直営店をシンガポールにオープンした。

WWD:国内外問わず着実にファンを増やしている。

ソンミ:「ミース」が「ソンミのブランド」というところから脱却したいと思っている。嬉しいことに最近では、私の顔を知らなくても製品を支持してくれる方が多い。ある女優の方にコスメ企画で「『ミース』を紹介すると、自分がしっかりモノを選んでいる認識をもってもらえ、自分の価値を高めてくれる」と言っていただけた時には、今までやってきたことは間違いではなかったと確信できた。

WWD:これまでのターニングポイントは?

ソンミ:3年のうち、リブランディングを2回したこと。最初のリブランディングでは、環境に配慮した取り組みの一環としてパッケージを森林循環紙に変え、ベジタブルインクに変更した。そこから、「正しいスキンケアを続ければ、何歳になっても肌は生まれ変わる」と発信するなかで、深刻化する環境問題とともに「ミース」も進化させていかなければと思い、2周年のタイミングで外箱をリサイクル率が高いダンボールに切り変えた。会社の取り組みや在り方を考えながら、お客さまと世の中にどういうことができるのか考え、いろんなことが動き始めた。日々環境に配慮した新しい容器が出ているので、変化を恐れず、積極的に変えていきたい。

WWD:スピーディーに環境に配慮した取り組みを行っている。

ソンミ:ブランドを立ち上げた時から動物実験を行わず、廃棄につながる大量生産は行わない。製品はレフィルも用意し、店頭では容器回収を始めた。企業としてSDGsへの取り組みは使命。まだまだ発展途上だが、できるところから確実に変えていく。これまでもこれからも、「肌が変われば、人生が変わる」そして「スキンケアで肌が変わると社会も世界も変えていける」という思いを持ち続け、進化していきたい。

WWD:今後の展望は。

ソンミ:3月に新ブランド「クレイビュ(CRAYBEAU)」を立ち上げる。ブランド名は「クレイジービューティ」の造語で、コンセプトは“狂おしいほどに美しい”。友人から「ソンミの肌はがんばってケアしている肌だ」と言われたのがきっかけ。最初は「がんばることは恥ずかしいのか?」と衝撃を受けたが、私の周りにいる美しい人は正しい努力をしていると思うし、年齢関係なく肌がきれいな人はかっこいいとも思っている。人生は平等ではないと言われるが、スキンケアは平等。正しくケアすれば、肌は必ず応えてくれると思っている。そこで、「最高の美肌」をサポートする最高峰ラインとして誕生させる。

WWD:ブランド領域を広げる。

ソンミ:この先、ビジネスで新しいことを始めたとしても肌に関係すること以外、絶対しないと決めている。この1年は「ミース」「アンドミール」「クレイビュ」の3ブランドをしっかり育成し、「肌が変われば、人生が変わる」ということをメッセージとして伝え続けていきたい。


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