大手芸能事務所、YGエンターテインメントの傘下企業ザ・ブラックレーベル(The Black Label)でアーティストのディレクションなどを行うチェ・スンホ(Choi Soonho)ビジネス・デベロップメント・シニア・ディレクタは、過去10年にわたってK-POPビジネス展開戦略などを担ってきた。これまで手掛けたアーティストは、元I.O.Iメンバーでソロデビューしたソミ(Somi)など。アイドルグループ、ビッグバン(BIGBANG)を率いるG-DRAGON(ジードラゴン)のブランド「ピースマイナスワン(PEACEMINUSONE)」の運営にも関わった。K-POPカルチャーと深い結びつきを持つ同氏が語るファッションとカルチャーの関係性とは?
WWDJAPAN(以下、WWD):ザ・ブラックレーベルでのプロデュース業で感じた、カルチャーとファッションとのつながりは?
チェ・スンホ=ビジネス・デベロップメント・シニア・ディレクター(以下、スンホ):エンターテインメント業界とファッションはすごく深い関わりを持っている。ファッションは自己表現やクリエイティビティーを発揮する一番の方法であり、その人物が持つカルチャーや人間性を表すものだ。韓国は今すごいスピードで発展しており、アートの分野も広く関心を集めている。ダイナミックな国でいろいろなことを学びながら成熟していくにつれて、文化的にも一緒に発展してきた。K-POPを中心に、ファッションもアジア圏で一緒に盛り上がっていることをうれしく思う。
WWD:G-DRAGONのプロデュースにも関わっており、彼のブランド「ピースマイナスワン」を立ち上げにも貢献している。その背景・経緯は?
スンホ:きっかけはG-DRAGONと彼の知人ら。彼らの発案をもとにスタートした。G-DRAGONはミュージックビデオやコンサートなど、自身のパフォーマンスのために、長年にわたってファッションからアクセサリー、バッグ、家具までのデザインを手掛けてきた人物。アイテムを自分流にアレンジしたり、イメージに沿うものがない場合は手作りで作成してきたりした。PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)には共通のネットワークでつながるグループがあり、みんな知人らによって構成されている。G-DRAGONが着たいと思うようなもので溢れる世界観を表現している。
WWD:プロデューサーになる前から自身はファッションに関心があった?
スンホ:ファッションは日常の中でみんなが使用する自己表現の形だ。人と会ったとき、最初に見るのは相手のファッション。感情を伝達して、個性を表現する方法として興味があった。着ている人のルックスや特徴を際立たせ、気分をあげるものだ。情報を介してつながりやすくなった今、ファッションはよりアクセスしやすくなっている。トレンドは行ったり来たりするが、今関心を持つ一番の分野。カルチャーを形成する上で欠かせない存在だ。
WWD:日本発のカルチャーとの関わりは?
スンホ:日本は世界的にも、カルチャーの重要な“ハブ”だ。日本が持つクリエイティビティーやパッションに刺激を受けてきた。素晴らしいメンバーが多すぎてとても選べないが、川久保玲や高橋盾、NIGO®、藤原ヒロシ、山本耀司といったデザイナーやアーティストとはコラボもしてみたい。
WWD:「ピースマイナスワン」では、グローバル・ビジネス・デベロップメント・マネジャーとしてブランドの世界的認知拡大に従事した。今後アジア発のファッションは、どう発展していける?
スンホ:アジア発のブランドは、長年にわたってユニークで特別な視点からクリエイションを手掛けてきた。アジアは全体的に大きく成長していて、文化も共有しながら刺激を与えあっていると思う。韓国やアジアのファッションの存在感は、年々増すばかりだ。世界に広めていくために、少しでも貢献できたら。カルチャーの成長をより大きく、ポジティブな方向にけん引したい。