パントン・カラー・インスティチュートが、2015年春夏シーズンのウィメンズ&メンズにおける人気カラートップ10を発表した。上位に並んだのは、アクアマリンやスキューバ・ブルー、ダスク・ブルー、クラシック・ブルーなどの“海色”。春夏の定番色ではあるが、レアトリス・エイズマン=パントン・カラー・インスティチュート エグゼクティブ・ディレクターは、「今シーズンは、いつも以上にウケる理由がある」と話す。それは、デジタルデバイスがもたらした“24時間働けますか?”的な日常生活からのエスケープ願望。「携帯電話にメール、そしてテキストメッセージ。人々は、こんな生活から一瞬でも解放されるため、開放的な色を好みそうだ」と分析する。
「アクアマリン」と呼びつつも、空と海の中間に近い色。明るく、柔らかな色合いは、人々のストレスを軽減するためにも重宝がられそうだ。「クローゼットの前に立つ時、直感的にこの色を選ぶ女性が増えている」とエイズマン。
「アレキサンダー ワン」や「ステラ マッカートニー」は、この色に染めたネオプレンが、サーファーのためだけにあるのではないことを証明した。ネオプレンが普及すればするほど、「スキューバ・ブルー」は人気の色になりそうだ。
“アントワープ・シックス”として名を馳せた「ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク」のフェイバリット・カラー。彼は、「デザイナーとして歩み始めたころから、僕はこの色が大好きでたくさん使っている」と話している。
“安全パイ”的存在の「クラシック・ブルー」。ナンバーワンにはならなかったが、ほとんどのデザイナーが「15年春夏に使いたい10色」の中に選んでいる。マシュー・マコノヒーは、エミー賞の受賞式でこの色のタキシードを着用。
“デジタル生活からの逃避”がテーマの2015年春夏シーズン。アーモンドカラーは、青空の下で日光浴を楽しんだかのような、「オーガニックでニュートラルな日焼けカラー」だ。コスメ各社は、すでにファンデーションで提案中。
温かさと冷たさの双方を同時に提供する不思議な色。ヘルシーな女性の、普段とは異なる一面にフォーカスするような色だ。エイズマンは、「気分があまり優れない時、もしくは前日の夜に遊び過ぎて疲れた時のカンフル剤」という。
15年春夏シーズンは、暖色系も“ヘルシー”がキーワード。エイズマンは、「温かみを感じさせつつ、ナチュラルでフレンドリー」と太鼓判を押す。すっかり普及した「オレンジ」ではなく、ちょっぴりエッジーな「タンジェリン」がイン。
黄色の中でも太陽と強く結び付く色。15年春夏にもっとも意識すべき、“ナチュラル”カラーの1つでもある。ビビッドなイエローより、「親しみやすいパーソナリティー」が強調できるカラー。小物はもちろん、ウエアにも使えそう。
バーガンディとは異なる“ワイン色”の1つ。口に含むことができる飲み物の色ゆえ、これもまた“ヘルシー”だ。「みんな、ワインは大好きなハズ。15年春夏、『マルサラ』色はワイングラスを飛び越え、ウエアに広まるだろう」。
世界各地に摩天楼がそびえる今、コンクリートのようなグレーは、すっかり当たり前の存在となった。トレンドカラーとして、ここ数シーズンランウェイを彩っている。しかし、そんな色も15年春夏は明るく、柔らかく進化。
メンズにとってのブルーは、ウィメンズ以上に「抗うことのできない魅力的な色」。「空の色で、永遠を意味する色で、忠誠心を表現する色でもある。そんな色がクールに、スムーズになったカラーが一番人気なのは当然」。
ブルー同様、グレーはスーツの着用頻度が高い男性にとって重要なカラー。特に今シーズンは、中国や韓国などのアジア、イタリアやイギリスなどのヨーロッパを中心に幅広く広がりそうだ。日々の喧噪を忘れる、ニュートラルカラー。
カーキに代表されるよう、男性は長い間、グリーンをアレンジして楽しんできた。“ナチュラル”や“ヘルシー”がキーワードの今は、グリーンもよりストレートに。「ストレスを軽減してくれるカラー」でブレイクの兆し。
ラルフ・ローレンは、ライダーカップ(ゴルフ界で2年に一度行われる、ヨーロッパとアメリカ出身のゴルファーによる団体戦)のユニフォームにクラシック・ブルーを採用。男性にとって、「絶対的」かつ「当然」の選択肢。
アメリカ大統領のバラク・オバマからイギリス王室のヘンリー王子まで、最近、インフルエンサーがスーツで楽しんでいるのが、このアーモンドカラー。「心地よい温かさ、まるで、素足を温かい砂に突っ込んでいるようなムード」を感じる色。
生い茂る草花、もしくは、丁寧に刈り取られた芝生のようなカラー。優しい“ナチュラル”カラーだが、アウトドア、特にキャンプと結び付ければ男性の逞しい一面を強調できる色相だ。男性ならではのグリーンと言えそう。
シリコンバレーのIT業界では、最近、この色のカジュアルウエアで働く男性が増えているという。ブラウンよりも明るく、軽やかな色。大地を思わせる“ナチュラル”カラーで、春のムードさえ感じさせる。
映画「アイアンマン3」の大ヒットは記憶に新しいが、男性は、まだまだ金属色に飽き足らないようだ。トレンドとは一線を画す“強く“”硬質的な”色だが、「強調すべきは、“安定性”」とエイズマンは話す。
すでに料理は、男性にとってもなじみ深い趣味の1つ。ワインは男性にとっても、「飲む」だけでなく「使う」存在となり、その分触れる機会が増えている。「決してすたれることのない色。春夏にも当たり前のように登場しそう」。
ノスタルジックな「ラベンダー・ハーブ」。フォーマルウエア、特にドレスシャツでは当たり前の色だが、15年春夏にはハワイアンショーツなどにも登場しそうだ。「アーモンド」「サンド」「ブルー」など、前述の色とも相性が良い。