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ロレアルの2021年通期決算は売上高4兆円超え 「歴史的な業績」を達成

 ロレアル(L'OREAL)の2021年12月期決算は売上高が前期比15.3%増の322億8760万ユーロ(約4兆2296億円)、営業利益は同18.2%増の61億6030万ユーロ(約8069億円)、純利益が同20.4%増の49億3850万ユーロ(約6469億円)と増収増益だった。同社は21年を「歴史的な業績」とし、全てのカテゴリーと地域で売り上げを伸ばしたほか、業界平均の倍の成長率を達成したという。ラグジュアリーブランドを収めたリュクス事業本部、サロンヘアケアなどを擁するプロフェッショナルプロダクツ事業本部、ダーマコスメブランドを集めたアクティブコスメティックス事業部が売り上げをけん引した。

 事業部別で見ると、プロフェッショナルプロダクツ事業本部の売り上げは同22.2%増で、アメリカと中国本土が好調だった。営業が再開されたヘアサロンとECが共に伸び、ブランドでは「ケラスターゼ(KERASTASE)」が成長に貢献した。プチプラコスメなどを擁するコンシューマー・プロダクツ事業本部は同4.5%増でアメリカや新興市場が伸びた。「メイベリン ニューヨーク(MAYBELLINE NEW YORK)」は新作の“スカイハイ マスカラ”がブランド史上最も成功したローンチとなり、「ガルニエ(GARNIER)」はビタミンCの美容液が人気だった。

 同21.3%増を記録したリュクス事業本部はコロナ前の水準に戻り、さらにコンシューマー・プロダクツ事業本部を抜き、グループで最大のカテゴリーとなった。「ランコム(LANCOME)」の“アプソリュ”シリーズや「ヘレナ ルビンスタイン(HELENA RUBINSTEIN)」などのウルトラプレミアムスキンケアラインに加え、「キールズ(KIEHL'S)」のレチノール入り美容液“DS RTN リニューイング セラム”といったエイジングケアアイテムが人気を博した。またフレグランスも「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」の“リブレ”や「ミュグレー(MUGLER)」の“エイリアン ゴッデス”などが売り上げをけん引。なお、昨年末にはLA発のクリーンビューティブランド「ユース トゥ ザ ピープル(YOUTH TO THE PEOPLE)」を傘下に収めた。

 ここ4年で規模を倍増させてきたアクティブコスメティックス事業部は同30.3%と快進撃が続く。オフラインの成長が復活し2ケタ成長を記録する一方で、ECは10億ユーロ(約1310億円)を突破した。「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE POSAY)」は新作のピーリング美容液や湿疹をケアする製品が人気で成長率が倍以上に膨らみ、「ヴィシー(VICHY)」は更年期女性にアプローチしたエイジングケアのリーダーポジションを確保した。

 地域別で見るとヨーロッパが同10.7%増、北米が同18.1%増、北アジアが同18.6%増、 SAPMENA-SSA(東南アジア・中東・北アフリカ・サブサハラアフリカ)は同10%増、ラテンアメリカが同20.6%増だった。北米の業績が復調したほか、メキシコやブラジル、チリなどの南米の国が大幅に伸長した。中国は11月の独身の日セールは最高額を達成し、年間を通じて2ケタ増を記録した。

 eコマースの売り上げは同25.7%伸び、全体の28.9%を占めた。同社は現在、EC化率50%を目指している最中だ。デジタル戦略の一環としてテクノロジーにも投資し、先日CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)ではヘアケアの最新デバイスを発表したほか、肌や髪のエイジングメカニズムを研究するためにヘルステック企業のヴェリリー(VERILY)と協業した。

 バンク・オブ・アメリカ(BANK OF AMERICA)のエヴァ・キロガ(Eva Quiroga)=アナリストは「中国市場の勢いが落ち着き、アメリカの需要が弱い中でも、ロレアルは力強いパフォーマンスを叩き出した」と評価する。営業利益率についてバーンスタイン(BERNSTEIN)のブルーノ・モンテイン(Bruno Monteyne)=アナリストは「目標をクリアできなかったが、それはブランディングへの投資が原因だろう。ロレアルはブランド価値を高め、長期的な成長のためにブランディングへ重く投資する傾向にある」とコメント。

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