2022-23年秋冬メンズ・ファッション・ウイークの現地取材は、 ベルリン在住の藪野淳・欧州通信員とパリ在住のフリーライター、井上エリの2人が担当。フランスに関する日本の報道とはかけ離れた現地のリアルな様子から取材を通して感じたことまで、2人がざっくばらんに振り返る。(この記事はWWDジャパン2月7日号からの抜粋です)
藪野淳/欧州通信員
PROFILE:2012年にロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDJAPAN」の編集記者に。17年9月からベルリンに拠点を移して活動中。今季も感染リスクを下げるため、毎晩自炊しながらコレクション取材を行った
井上エリ/フリーライター
PROFILE:武庫川女子大学卒業後、 ニューヨークで4年過ごし、パリ在住6年目。今季ミラノ&パリの現地取材を担当。多忙を極めるファッション・ウイーク中、執筆前に必ずテンダラーの漫才で息抜きしてから原稿に向かった
藪野:ヨーロッパでは12月中旬ごろからの感染再拡大の影響を受けて、リアル開催が危ぶまれましたが無事に閉幕しました。一人でミラノを現地取材した井上さん、街はどんな様子でしたか?
井上:にぎわいに欠け、観光客も少なかったです。座席数も大幅に制限し、ほぼイタリア人が独占していました。会場内の収容人数は容積に応じて規定があり、小さな教会で行った「1017 アリックス 9SM」が50人ほど、一番多かった「プラダ」で300人ほどでした。ベルリンから渡仏した藪野さんは、パリの街をどのように見ましたか?
藪野:1日当たりの新規感染者数が40万人超えと聞いて身構えましたが、元の日常に戻っているように見えました。百貨店にもお客さんが戻ってきていましたし、街中の人通りも多く活気がある。ショーに関しては事前に規制が厳しくなっていると聞いていたものの、実際にはソーシャルディスタンスをかろうじて守っている程度だし、会場内でマスクを外している人もいるし、フランスは変わってないな〜と。来場者にアジア勢は見かけず、日本から渡仏していたのはパリに新たにアトリエを構えた「サルバム」のチームだけでしたね。
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