ファッション

人見知りの職人が動画で語り始めた TOKYO KNITの「語りはじめたファクトリー」に注目

 東京ニットファッション工業組合(以下、 TKF)は、加盟各社で「TOKYO KNIT」ブランドを構築し、品質と技術を保証する認証制度を導入するなど、ニットの産地としての東京の付加価値向上に取り組んでいる。OEMやODMを担い、消費者に直接発信することが少なかった認証企業はこのほど、「語りはじめたファクトリー TOKYO KNIT STORY」をテーマに、D2CやSNSなどへの挑戦から長年のモノづくりにかける想いを語り出した。

 「語りはじめたファクトリー TOKYO KNIT STORY」は、参画企業の取り組みを取材・編集した一連の動画だ。現在TKFの公式YouTubeチャンネルで順次配信している。「企業・工場紹介編」と「オリジナルブランド紹介編」「特別編」「総集編」の全24話を2月末までにアップする予定だ。取材・編集は、メディアやコミュニティスペース「セコリ荘」を通じて産地の情報発信を続ける糸編(代表:宮浦晋哉)が担当。口下手な認証企業の「語り」を引き出した。各社は長年“縁の下の力持ち”だったから、正直消費者と直接コミュニケーションするD2Cブランドを作ったり、その試みを各種SNSで発信したり、ましてや動画に出演したりは慣れていない。それでも取り組むのは、「変わらなければいけない」という危機意識と、「決して変わらない」モノづくりへの愛があるから。下町のニットメーカーも、想いを発信することで共感してもらう時代を試行錯誤しながら生きている。24本の動画は、彼らの想いだ。

 認証に際して審査員を務めるユナイテッドアローズの栗野宏文上級顧問は、「TKFの取り組みを知ったのは最近だが、認証各社にはユナイテッドアローズを創業した頃からの取引先もあった。各社のクオリティは、信頼できる。タッグを結成すれば、『1+1』は『3』にも『4』にもなるだろう。朴訥でシャイな職人には、動画が苦手な人もいるだろう。そもそも日本人は長年、発信を苦手としてきた。だが今は、世界を相手に戦う時代。皆が『自分が』『自分が』とシャウト(叫ぶ)するのはシンドいかもしれないが、スピーク(語る)するのは大事だ」とエールを送る。

 TKFは2月24~26日の3日間、「TOKYO KNIT総合展2022」を開催する。一般に広く開放し、入場は無料だ。総合展では、認証企業のファクトリーブランドや、高い技術でデザイナーを支えるコラボレーションを筆頭に、OEM/ODMや染色、プリント、テキスタイル、糸、付属品など、日本のモノづくりを支える本来の活動についても、製品や動画を通じて発信する。各社は、消費者との直接的な交流に期待を寄せている。26日には糸編の宮浦代表を司会に、廣川玉枝「ソマルタ」デザイナーと村上要「WWDJAPAN」編集長がトークショーを開催(先着50人限定)。その模様はライブ配信する予定だ。

■「TOKYO KNIT総合展2022」
期間:2月24~26日
(24日は16~18時まででメディア・関係者向け。25日は11~19時、26日は11~18時まで。トークショーは26日16:30~の予定)
場所:渋谷ヒカリエ「COURT&CUBE」(東京都渋谷区渋谷2-21-1 8F)

問い合わせ先
コスモ・コミュニケーションズ
contact@tokyoknit.jp