コーセーの2021年12月期連結業績(通期)は、売上高が2249億円、営業利益が188億円の黒字、純利益が133億円の黒字だった。当期から決算期を変更しており、21年4〜12月期の9カ月の変則決算。参考値として20年4〜12月期との比較では、売上高が4.8%増、営業利益が14.1%増、純利益が4.4%減となる。
全社的な原価率改善で営業増益となったものの、主力の化粧品事業の営業利益は前年同期比微減の227億円だった。新型コロナウイルスの影響長期化で国内事業が想定を下回ったことに加え、中国における欧米企業との競合が激化。マーケティング費用をはじめとした販管費が膨らんだ。小林一俊社長は「(中国では)期初に20%程度の営業利益率を見込んでいたが、結果的には5%強にとどまった」と述べた。
ブランド別では、引き続き高価格帯のハイプレステージブランドが好調で、「コスメデコルテ(DECORTE)」の売上高895億円は19年同期実績と比較しても11.4%増だった。21年10月にリニューアルした美容液“リポソームアドバンストリペアセラム”の売れ行きがグローバルでも好調に滑り出し、「ブランドの課題だった若年層の取り込みに貢献している」。
22年12月期は、売上高が前期比8.9%増の2930億円、営業利益が同40.4%増の220億円、純利益が同48.2%増の165億円を見込む。国内事業は新型コロナの影響で大きな伸長は望まず、中国などアジア市場を成長のドライバーとする。前期と比較して2ケタ台の売り上げ伸長を目指す。「現地の化粧品ブランドも成長しているが、高価格帯ブランドの品質では当社に一日の長がある。当面のライバルは欧米企業。価格競争に巻き込まれないよう様子を見ながら業績拡大を図る」とする。北米を中心に展開する自然派化粧品「タルト(TARTE)」は期中に300〜400店舗の出店を計画する。
26年12月期を最終年度とする中期計画「VISION2026」の一環として、「コスメデコルテ」から多様な肌の特性(肌悩み、肌色)にフィットするリキッドファンデーション“ゼン ウェア フルイド”を4月に発売する。サステナビリティへの取り組みでは、花王との協働プロジェクトを推進。使用済みプラスチック容器を回収・再生する取り組みと、余った化粧品から絵の具などを製造・販売するスキームの構築を進める。