リセールのスニーカー専門店「ワーム(WORM)」は、初のポップアップストアをきょう2月15日まで阪急メンズ大阪で開催中だ。
ワームは中古スニーカーの買い取り・販売専門店で、コメ兵ホールディングス傘下のイヴコーポレーション(東京、三輪雅貴社長)が運営する。東京店(原宿)と大阪店(南船場)の2店舗に、入手困難なモデルからトレンドのモデル、定番モデルまで取りそろえる。生産数が極めて少なく、販売方法も特殊な激レアスニーカーや歴史的な名作などのアーカイブが充実しているのが特徴だ。
今回のポップアップストアは、2021年7月にオープンした大阪店の認知度アップを狙った。貴重なコレクションの中から世界的にも希少品を特別展示する一方で、“エアジョーダン”のオリジナルカラーをはじめとするレアスニーカーなどを販売する。
特別展示は10点。ナイキSBシリーズの名作“ダンク ロウ プロ SB パリ”は、03年にパリで「ホワイトダンク展」で開催された際に200足限定で生産されたもの。フランスの画家の名作が散りばめられたデザインで、著作権問題から販売直前にストップがかかったものの、半数近くが流通した。海外のオークションでは1000万円以上の高額で取引されている。
映画「バック トゥ ザ フューチャー2」で主人公が着用した近未来スニーカーを再現した“ナイキ マグ”は自動着脱システムを搭載した1足。11年モデルはオークション限定で発売され、日本国内では220万円で落札された。他にもエミネムのアルバム「アンコール」のリリースを記念して50足限定生産された“エアジョーダン”のコラボモデルや、ニューヨーク出身のグラフィックアーティスト、フューチュラが自身のブランドの旗艦店を福岡にオープンした際の記念モデル“ダンク ハイ プロ SB フロム”なども間近で見ることができる。
ポップアップストアで購入可能なモデルは、ナイキの“エアジョーダン1 シカゴ1994”や“エアジョーダン1 レトロ ブレッド2001”“エアマックス95”など。“ブレッド2001”(11万円)と“ロイヤル2001”(13万円)は、漫画「スラムダンク」にも登場するバスケットシューズで、ワーム東京店の山形谷賢人氏にとっては思い出の靴だという。「定価1万円台だったのが4万円で販売されていて、どちらの色を買うのか店で一日中悩んだ記憶がある。結局、2色とも欲しくて1週間で8万円使った」と振り返る。
“エアマックス95”のイエローグラデーション(20年復刻版、3万7400円)は、ワームの大阪店の小畑文仁店長イチオシの人気モデル。差し色のイエローと独特のグラデーションが気に入っているという。「当時野球少年だったので、三ツ矢サイダーのCMでイチロー選手が履いているのを見て憧れを抱いていた。当時のものはもちろん、復刻が出るたびに買っている」(小畑店長)。
人気モデルの復刻版が発売されると、抽選販売の行列ができ、即日完売することが多い昨今のレアスニーカー市場。かつてはスニーカー偏愛者のマニアックな世界だったが、SNSで大衆化が進んだこの10年間でさらにスニーカー需要は高まっている。2、3年前には、米国の人気ラッパーが着用した写真が出回ったことでナイキのダンクシリーズの人気が沸騰。加えて、アスリートやアーティストとのコラボラインが大手オークションハウスで億超えの高値で落札されたり、リセールのプラットフォームが登場したり、リセール市場はますます盛り上がりを見せている。コーエン・エクイティ・リサーチ社のレポートによると、世界のスニーカーリセール市場は30年には290億ドル(約3兆円)規模に成長すると予測されている。欧米や日本だけでなく、中国、韓国、東南アジア、南米でもリセール市場が伸び、ワームでもインスタグラムなどを通じて海外からの注文が増えているという。
同店ではコロナ禍で一時売り上げが落ち込んだものの、徐々に回復し、買い取りも順調だ。「おうち時間が増え、外出する機会が減ったことでスニーカーを売りに出す人が増えた。買い取り宅配では毎週100足から多いときで1000足が店に届く」(山形谷氏)。買い取り価格は市場相場などから設定する時価で提示。「10年以上業界に携わってきた経験から分かることは、定番のオリジナルカラーなどは実際にはいている人が多く、価格が高くなる傾向がある」(山形谷氏)。
ただ、人気モデルの回転サイクルは速く、5年前に売れたモデルがいつまでも売れるとは限らない。「常にSNSをチェックし、アンテナを張っておくことが大切。来店客に対しても丁寧に接客し、アットホームな店作りを心がけている」と小畑店長。
今ベントでは、オリジナルのフォトブックやロゴTシャツ、コーチジャケットなども数量限定で販売。“エアジョーダン1”限定の買い取りも行った。