企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目をつけ、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回はZOZOの財務諸表を例に損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)の見方を解説する。(この記事は「WWDJAPAN」2022年2月14日号からの抜粋です)
今回はZOZOと一般的なアパレル小売企業の財務諸表を比較しながら、EC時代のビジネス構造の変化について考えてみます。
まず、2021年2月8日号のおさらいになりますが、財務諸表の中でも、貸借対照表(BS)は、企業が営業するため、つまり損益計算書(PL)を回すために必要な「資金」をどう調達して、どう使っているかということを表しています。左に「資産」、右に「負債」と分かれていますが、これはそれぞれ「資金の使い方(資産)」と「資金の出どころ(負債)」と考えると分かりやすいです。
さて、ZOZOと一般的なアパレル小売企業のPL・BSを並べると一目瞭然なのが、PLの売上原価がめちゃくちゃ小さいということです。事業のほとんど(受託ショップやBtoB事業)において、ブランドから在庫を預かって、一般消費者に販売し、売上金を回収しているので、自分たちがリスクを取って仕入れている、ごくわずかな分の売上原価しかありません。
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