ファッション

スイスの新興繊維メーカーがケミカルリサイクルのセルロース繊維を量産へ

 スイスの繊維メーカーのハイキュー(HEIQ)は、ケミカルリサイクル型のセルロース繊維「ハイキューアイオニーク(HEIQ AEONIQ)」の量産を2024年度から開始する。このほど、独ヒューゴ・ボスと米ライクラとの提携を発表。ヒューゴ・ボスは同素材の開発・製造を行うハイキュー社の子会社に500万ドル(約5億7500万円)を出資し、今後は400万ドル(約4億6000万円)の追加出資も行う。スパンデックス「ライクラ」を展開するライクラ社も出資(出資額は非公表)とともに独占販売権を取得した。ハイキュー社は22年上半期の稼働を目指して「アイオニーク」のパイロット工場の建設を進めており、24年までに欧州に最初の量産工場の稼働を計画する。同社のカルロ・セントンゼ(Carlo Centonze)共同創業者兼CEOは「すでに『ハイキューアイオニーク』の知的財産の価値は2億ドル(約230億円)に達している。世界的なサステナビリティー意識に伴い、ファッション産業分野でも脱炭素化への圧力が高まり、非常に大きなビジネスチャンスをもたらしている」とコメントしている。

 ハイキューは2005年にスイス工科大学から誕生したベンチャー企業で、機能繊維の開発に強みを持つ。ロンドン証券取引所に上場しており、コロナ禍で抗ウイルス素材が爆発的に売れたことで急成長をしている。2021年1〜6月期の売上高は2579万ドル(約29億円)、営業利益は330万ドル(約3億7900万円)。

 ハイキュー社はケミカルリサイクルが可能なセルロース繊維「アイオニーク」を、繊維素材としては最大のシェアを持ち、世界で年間1350億ドル(約15兆5250億円)規模の市場を持つポリエステルとナイロンの代替素材として打ち出したい考え。セルロース繊維である「アイオニーク」は石油ではなく天然素材を原料とする上、同社によるとポリエステルやナイロンに比べ、温暖化排出ガスを大幅に削減できるという。ヒューゴ・ボスとの提携で、世界のアパレル産業での知名度を獲得し、量産後の販売網の強化につなげる。

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