大きな襟で主張する“襟コンシャス”の人気は衰え知らず。顔周りにエレガントで華やかな印象を添えられるので、リモートワークでもオンライン映えします。マスク着用でも、素っ気なく見えないのもうれしいところ。2022年春夏シーズンはさらに進化し、王朝の貴婦人を思わせる“エリザベスカラー”も登場。昭和レトロ調の丸襟やおなじみのセーラーカラーにもアレンジが加わっています。
貴族のヒストリカルなファッションを現代風に再解釈した「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」22年春夏コレクション。襟を立たせて、芯の強いインディペンデントな女性像を際立たせました。品格やリュクスが薫るのもクラシックな大襟のよさ。今回は、新顔のエリザベスカラーをはじめ、勢いが増す“主張襟”のスタイリングをみていきましょう。
高貴な印象のエリザベスカラーでネックラインをシャープに演出
首に沿ってぐるりとひだを回した特大の襟は、英国の女王エリザベス1世にちなんで“エリザベスカラー”と呼ばれています。いかにも王朝の貴婦人ムードで、古風なたたずまいが持ち味です。
1枚目の写真は、ゴージャスな襟でレディーな印象が漂いがちなところを、スリーピースのスーツと合わせてジェンダーミックスに整えました。高発色のイエローがポジティブなイメージを呼び込んでいます。足元はブラウスと同じ白のスニーカーで、全体をツートーンにまとめました。
作曲家ベートーベンを思わせる高さのある立ち襟も、クラシックな雰囲気が魅力。不ぞろいな見え具合が顔周りにドラマチックな動きを添えてくれます。2枚目の写真は、あごに届くほどの襟高なので、首が細く見えるのもポイント。優美なレースがノーブルな貴族のムードを醸し出しました。ブラウス1枚でも凛とした風情にまとまるのが、“作曲家襟”のいいところ。モノトーンにまとめて、メイクにもほんのりゴシックなムードを漂わせています。
レトロな丸襟は甘さを抑えるミックスコーデが鍵
襟先のとがったシャツとは違って、全体に丸みを帯びた襟は朗らかな表情を生みます。昭和のレトロな雰囲気も丸襟ならでは。甘さ控えめの大人チャーミングなコーディネートにも役立ちます。
1枚目の写真は、大ぶりの丸襟にレースが縁取りされたブラウスが印象的。目立つ位置にブローチを添えて、淡めのピンクのパンツスーツと合わせました。正統派のテーラードスーツに、お嬢様な雰囲気が漂う丸襟のブラウスを合わせたクロスオーバー加減が絶妙です。
ラブリーな丸襟は女学生風のムードも帯びていますが、大人がまとうなら、ガーリーさを抑えたスパイシーな味付けがおすすめ。レザーや黒系で引き締める戦術が効果的です。2枚目の写真では、白い丸襟に細かいプリーツの縁取りを加えて、さらにロマンチックな見え具合に。ボウタイリボンが気品も添えています。顔周りにレディーな要素が強い分、残りはフェミニン濃度を落としたほうが得策。レザーの吊りスカートで大人っぽいクールなスタイリングをミックスしました。
最新セーラーカラーはフェミニンなバックコンシャスにも一役
大きな襟の代名詞といえば、水兵が由来の“セーラーカラー”です。同襟は女子校の制服でおなじみですが、22年春夏はマリンルックがグローバルに見直され、セーラーカラーも新トレンドに浮上しています。
水兵のイメージがあるセーラーカラーですが、この春夏はフェミニン寄りの着こなしがよく見られます。いかにも水兵っぽく取り入れるのではなく、ミニスカートと合わせて、“ヘルシー&セクシー”なスタイリングなど、ソフトな雰囲気にアレンジするのが鍵。セーラーカラーは背中側にも表情が生まれるので、全方位どの角度から見てもキマるのも魅力です。
中でも、22年春夏に盛り上がること間違いなしの着こなしは、大胆な肌見せ。ウエストまわりを見せる“チラ腹見せ”が主役ですが、肩出しやベアバックも有望です。2枚目の写真のようなニットのセーラータイプも登場しています。シャツやブラウスのイメージが強い分、ニットなら意外性をまとえそう。完全なバックレスではなく、大きなセーラーカラーが肩甲骨あたりまでを覆っているので、肌の程よい見え加減も◎。いい具合にバックコンシャスな装いに整っています。カーゴパンツと合わせて、大人カジュアルなスタイリングが完成しました。肌見せが気になるなら、Tシャツの上に重ねてもOKです。
エリザベスカラーや昭和レトロ調の丸襟、セーラーカラーなど、“襟コンシャス”のバリエーションは広がるばかり。狙ったイメージを手軽に表現できるのは、顔に近いポジションだからこそ。自分好みのデザインを選びやすくなったこの春夏は、“主張あり”の襟をムードメーカーに起用してみてはいかが。