ファッションの世界でも二次流通市場の存在感は高まる一方で、最近はファッションブランドが自ら同市場のビジネスに乗り出しているという。高級時計の世界では何年も前から、一部の時計ブランドによる自社製品のリユース、販売した製品の顧客からの買い取り&再販という二次流通のビジネスモデルが、それなりの成功を収めている。高級時計、中でも機械式時計は数十年も使えるため、昔から二次流通、つまりアンティークウオッチ市場が確立されている。なのになぜ時計ブランドは、自ら二次流通に乗り出したのか?そしてファッションブランドにも、高級時計ブランド同様、自ら二次流通に乗り出すメリットはあるのだろうか?(この記事はWWDジャパン2022年2月21日号からの抜粋です)
「フランク ミュラー」や「ブライトリング」
「ヴァシュロン コンスタンタン」も参入
時計ブランドや正規輸入代理店が自ら、自動車のように「正規認定中古品」として二次流通を行う日本での先駆者は、ワールド通商が日本正規代理店の「フランク ミュラー(FRANCK MULLER)」だ。
ワールド通商は2009年春から、購入した時計を売却したいというオーナーからの依頼を受けて、その時計を再整備。「プレミアム・アプルーブド・ウオッチ(Premium Approved Watch. 正規認定中古時計のこと)」として保証付きで、公式サイトや直営店で販売している。
さらにスポーツウオッチの名門「ブライトリング(BREITLING)」も、正規販売店での製品購入者のためのカスタマーサービス「クラブ・ブライトリング」の会員を対象に、購入した時計を査定・下取りして、新しい「ブライトリング」の時計購入を促す「トレード・イン・システム」を09年前後にスタート。現在は全国展開している。ただしこの下取りは、買い取りのみは不可。時計は「ブライトリング」のサービスセンターで正規のメンテナンスを受け、1年間の品質保証付きで「認定中古ウオッチ」として、新宿の「BEST VINTAGE(ベスト ヴィンテージ)」が販売している。
同様の二次流通ビジネスを12年にスタートして、目覚ましい成功を収めているのは「リシャール・ミル(RICHARD MILLE)」だ。同ブランドは銀座にオープンした店舗で、過去に購入した時計を売却したいオーナーからの委託を受けて再整備し、正規認定中古ウオッチとして販売。現在は大阪、渋谷、神戸、福岡にも支店を構えている。
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