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「グッチ」が復調したケリング、21年は34%増収 商品のハイエンド化で平均価格アップへ

 ケリング(KERING)の2021年12月通期決算は、売上高が前期比34.7%増の176億4520万ユーロ(約2兆2938億円)、営業利益は同45.4%増の47億9740万ユーロ(約6236億円)、純利益は同47.6%増の31億7570万ユーロ(約4128億円)だった。

 19年比でも、売上高は11.0%増、営業利益は4.0%増、純利益は37.5%増とコロナ禍前を上回る結果となった。

 地域別の売上高は、西欧が前期比10.6%増の40億4500万ユーロ(約5258億円)、北米が同70.8%増の46億8530万ユーロ(約6090億円)、日本を除くアジア太平洋地域が同34.5%増の66億9540万ユーロ(約8704億円)、日本が同13.7%増の10億5940万ユーロ(約1377億円)だった。

 ブランド別の売上高では、主力の「グッチ(GUCCI)」が同30.7%増の97億3090万ユーロ(約1兆2650億円)だった。同ブランドは、21年第1四半期の売り上げが前年同期比20.2%増、第2四半期は同82.3%増だったが、第3四半期はアジア市場などで新型コロナウイルスの感染が再拡大したことから同4.5%増と大幅に減速。しかし第4四半期には同34.6%増に持ち直した。

 「サンローラン(SAINT LAURENT)」は前期比44.5%増の25億2100万ユーロ(約3277億円)と記録的な売り上げとなったほか、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は同24.1%増の15億280万ユーロ(約1953億円)だった。その他のメゾン部門に含まれる「バレンシアガ(BALENCIAGA)」と「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」も好調で、同部門は同43.1%増の32億6470万ユーロ(約4244億円)だった。

 ケリングは21年12月末の時点で1565の店舗を運営しており、売り上げの81%が小売り(自社EC含む)によるものだ。ECは売り上げ全体の15%を占めており、19年の7%からほぼ倍となっている。

 フランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「19年をも上回る素晴らしい業績を上げることができ、大変うれしく思う。22年においても、この勢いを維持できるものと考えている」と語った。

 こうした業績の好調ぶりを反映し、21年におけるケリングの手元資金はおよそ39億5000万ユーロ(約5135億円)と前年の倍程度となっている。買収をする予定はあるかとアナリストに問われたピノー会長兼CEOは、「当社に合う企業を積極的に探している」と述べた。なお、同社は22年1月、スイスの高級時計ブランド「ジラール・ペルゴ(GIRARD-PERREGAUX)」や「ユリス・ナルダン(ULYSSE NARDIN)」などを擁するソーウインド グループ(SOWIND GROUP)の保有株式を全て同社の経営陣に売却すると発表した。

 ここ数年、生産コストや人件費の上昇を受け、ラグジュアリーブランドでハンドバッグの値上げが続いている。中でもその幅が大きいのは、21年1月から22年2月にかけて米国で29%の値上げをしたモデルもある「シャネル(CHANEL)」や、同じく66%の値上げをしたモデルがある「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」だろう。

 米「WWD」によれば、実は「グッチ」も21年に2回の値上げをしているという。今後も値上げをする予定はあるかというジャーナリストからの質問に対して、ピノー会長兼CEOは明言を避け、コレクションをより洗練されたハイエンドなものにすることで平均価格を上げつつ、地域的な価格差に関しては「妥当な」幅にしたいと回答。「ボリューム(生産流通量)とバリュー(商品やブランド価値)の微妙なバランスを取る必要がある」と説明した。

 メタバースへの参入について、同氏は「様子見をするのではなく、実践して学んでいくアプローチで進めている」と話した。その言葉通り、「グッチ」はデジタルのコレクションアイテムのクリエーションを手掛ける「スーパープラスチック(SUPERPLASTIC)」と協業して限定NFTなどを発売しているほか、「バレンシアガ」は人気オンラインゲーム「フォートナイト(Fortnite)」と協業してゲーム内でスキンなどを販売している。

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