フランス化粧品・トイレタリー企業連合(La Federation des entreprises de la Beaute 以下、FEBEA)が発表したリポートによれば、2021年におけるフランスの化粧品の輸出総額は169億ユーロ(約2兆1970億円)にのぼり、コロナ前の19年を2.5%上回った。メイクアップ、スキンケア、フレグランスが好調だったことに加え、中国市場の活況が貢献した。
貿易収支で見ると、化粧品は129億ユーロ(約1兆6770億円)の黒字となっており、同じく308億ユーロ(約4兆円)の航空機、146億ユーロ(約1兆8980億円)のワイン・スピリッツに続いてフランスで3番目。21年、同国内では16万人以上が化粧品業界で働いた。
輸出先はヨーロッパとアジアが全体の約3分の2を占めた。国別では2年連続で中国がトップになり、全体の11.7%にあたる19億ユーロ(約2470億円)を輸出した。また中国への輸出は19年比で56%伸びた。中でもカラーコスメの需要が高く、現在フランスのリップスティックの3本に1本以上は中国に輸出している。2位は米国で、全体の11.2%にあたる18億ユーロ(約2340億円)を輸出した。フレグランスの輸出額は昨年比66%増と急伸している。3位はドイツで、全体の9.5%の15億ユーロ(約1950億円)を輸出した。
一方で景気が不安定なロシアとブラジルへの輸出は停滞しており、現地でのフランス化粧品の売り上げは19年比で約22%落ちた。中東への輸出もコロナの影響で同5.7%減だった。
輸出化粧品の全体のうち86.2%をメイクアップ、スキンケア、フレグランスが占めた。メイクアップとスキンケアは合わせて55.6%にあたる90億ユーロ(約1兆1700億円)を輸出し、うちスキンケアは75億ユーロ(約9750億円)を占めた。スキンケアに次ぎ輸出額が大きかったのは、リップスティックとアイメイクアップ。フレグランスは30.6%を占め、20年比で35.4%伸びた。
エマニュエル・ギシャール(Emmanuel Guichard)FEBEA総長は「化粧品産業は新型コロナウイルスという危機的状況からの力強い回復力を見せた。市場の復調はもちろん、変化する消費者のニーズに応えたことが要因となった。今回の成長には、メイド・イン・フランスを象徴する大小さまざまな企業が貢献した。またコロナ禍においてナチュラルや環境に配慮した製品の需要が高まる中、フランスが誇る化粧品の研究開発力が世界で力を発揮した」とコメントする。
FEBEAはフランスの350以上のビューティ・ウエルネス企業からなる連合。フレグランスやスキンケア、衛生用品、トイレタリー、ヘアケアを含む化粧品企業を対象とし、全体の82%を中小企業が占める。