REPORT
飛躍したスポンテニアス、その意味は?
ロンドン・コレクション・メン(通称ロンドンメンズ)がスタートし、2016-17年秋冬シーズンのコレクション・サーキットがスタートした。ファッション・ウイークはこの後、フィレンツェのピッティ・イマージネ・ウオモ、ミラノ、そしてパリと続く。3週間続くメンズウエアの祭典が開幕した。
初日は、コム デ ギャルソンのセレクトショップ、ドーバー ストリート マーケットが買い付ける注目の新進ブランド「クレイグ グリーン」などがショーを開催。毎シーズン、あらゆるパーツからコード(紐)の垂れ下がる洋服を複雑にレイヤードすることでスタイルを生み出してきた「クレイグ グリーン」は、DIY感覚にあふれる「スポンテニアス」(英語で「任意の」という意味)というアイデアを市場に投げかけるメンズブランドの代表格。着る人は、洋服をどう組み合わせても構わないし、そこから延びるコードについても結んでフォームを変えても、結ばずボリュームのあるシルエットを楽しんでも構わない。そんな自由奔放なアイデアを、ワークやミリタリーなど、本当なら制限の多い、ユニフォーム性の高いスタイルで追い求めるのは、今のメンズの大きな流れの1つだ。
16-17年秋冬シーズンは、そんな「スポンテニアス」なアイデアがさらに進化した。ありふれたコットンやナイロンで生み出していたスタイルは、人のぬくもりを感じるビンテージ感あふれるリネン混からレザーまでバリエーションを拡充。随所にコードを配することで提供してきた「スポンテニアス」、着る人次第で自由自在なフォームの作り方についても、あらゆるパートにベルトループを加えてベルトを通したり、洋服の裾を中心にハトメを打ち込み幅広のファブリックを通したりとバリエーション豊かに。複雑怪奇なパターンに沿ってボタンとループを配し、ボタンを留める・留めないでフォームを変換するアイデアは、圧倒的なインパクトを放ち一見すると着用者を限定するスタイルのようだが、実は、着る人に最大限の自由を保証するものだ。
会場には川久保玲の公私にわたるパートナーでもあるエイドリアン・ジョフィー=ドーバー ストリート マーケット社長の姿。そして初日のロンドンメンズでは、地元のみならず、多くのアジア圏のエディターやスタイリストが、過去の「クレイグ グリーン」のコレクションを着て現れた。若手の台頭が続くロンドンの中で、「クレイグ グリーン」は、完全に一歩抜け出した。
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