エルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL以下、エルメス)の2021年12月通期決算は、売上高が前期比40.5%増の89億8200万ユーロ(約1兆1586億円)、営業利益は同70.2%増の35億3000万ユーロ(約4553億円)、純利益は同76.5%増の24億4500万ユーロ(約3154億円)だった。営業利益には、エルメスが立ち上げた中国発のラグジュアリーブランド「シャンシア(SHANG XIA)」の株式を一部手放したことによる売却益9100万ユーロ(約117億円)が含まれている。
19年比でも、売上高は30.5%増、営業利益は50.9%増、純利益は60.0%増とコロナ禍前を大幅に上回る結果となった。
地域別での売上高は、フランスが前期比35.1%増の8億3800万ユーロ(約1081億円)、フランス以外のヨーロッパは同36.7%増の13億300万ユーロ(約1680億円)、日本は17.1%増の9億7700万ユーロ(約1260億円)、日本以外のアジア太平洋地域は同45.8%増の42億5100万ユーロ(約5483億円)、南北アメリカは同52.0%増の14億5800万ユーロ(約1880億円)だった。
カテゴリー別での売上高は、レザーグッズが前期比27.4%増の40億9100万ユーロ(約5277億円)、衣料・アクセサリーは同57.4%増の22億1900万ユーロ(約2862億円)、シルク・テキスタイルは同48.0%増の6億6900万ユーロ(約863億円)、香水・ビューティは同46.3%増の3億8500万ユーロ(約496億円)、ウオッチは同71.9%増の3億3700万ユーロ(約434億円)だった。ECも好調で、オンラインストアのユーザーの78%が新規客だったという。
四半期ベースで見ると、21年10~12月期(第4四半期)はレザーグッズが前年同期比3.2%減の10億1500万ユーロ(約1309億円)となっている。同社によれば、これは生産面で制約があったことや在庫不足によるもので、22年には6~7%の増産を見込んでいるという。
ここ数年、生産コストや人件費の上昇を受け、ラグジュアリーブランドでハンドバッグの値上げが続いている。中でもその幅が大きいのは、21年1月から22年2月にかけて米国で29%の値上げをしたモデルもある「シャネル(CHANEL)」や、同じく66%の値上げをしたモデルがある「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」だろう。米「WWD」によれば、ケリング(KERING)が擁する「グッチ(GUCCI)」も21年に2回の値上げをしたほか、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)が擁する「ディオール(DIOR)」や「セリーヌ(CELINE)」もいくつかのモデルで値上げに踏み切っている。
こうした中、「エルメス」も生産コストの上昇により、22年に3.5%程度の値上げをする予定だという。アクセル・デュマ(Axel Dumas)最高経営責任者は、アナリスト向けの説明会で、「当社は他社に追随することはしないし、値上げによってさらに業績を上げようとは考えていない。『エルメス』の価格は適正なものだ。当社は顧客と本物の信頼関係を築いており、それを傷つけるようなことはしたくない」と語った。
同社は世界でおよそ1万8000人の従業員を抱えているが、コロナ禍の中でも業績が好調なことを受け、全員に3000ユーロ(約38万円)のボーナスを支給する。