ビューティ
連載 齋藤薫のビューティ業界へのオピニオン

齋藤薫のビューティ業界へのオピニオン 化粧品は今こそタブーに挑戦し、“人の命を救うほど”の潜在能力を見せつけるべきである!

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 「WWDJAPAN」には美容ジャーナリストの齋藤薫さんによる連載「ビューティ業界へオピニオン」がある。長年ビューティ業界に携わり化粧品メーカーからも絶大な信頼を得る美容ジャーナリストの齋藤さんがビューティ業界をさらに盛り立てるべく、さまざまな視点からの思いや提案が込められた内容は必見だ。(この記事はWWDジャパン2022年2月28日号からの抜粋です)

 化粧品業界には当然のこととしてタブーが多い。長年気になっていたのは、50歳代以上は存在しないかのように、コスメ業界が50代以上を無視してきたこと。今でこそマチュア市場は拡大中。でもかつて50、60の数字は口が裂けても言わなかった。唯一、このタブーに堂々挑戦したのは1997年「美しい50歳がふえると、日本は変わると思う。」という資生堂のCMコピー。今から25年前のことである。いわゆる「美魔女」の概念を「美スト」が立ち上げたのは13年も後、しかも美魔女が美しいと訴えたのは40代だ。いかに革命的なことだったかが分かるはず。このとき何か無性にワクワクしたものだが、結局この提言は性急過ぎたとの見方もあった。50代を主役にするのはまだタブーのままだったのだ。

 しかしそれは資生堂にとって「社会的責任」であり、トップメーカーの使命感だったはず。この多様性の時代、資生堂はジェンダーや人種のみならず、がん患者のビューティ提案にも積極的に取り組んでいる。満面の笑顔のがんサバイバー206人の写真集を発行して話題になったほか、今年はがん治療の副作用による、頭髪や眉やまつげの脱毛悩み、肌荒れややつれ感など外見上の変化を、メイクやケアで解決する最新美容メソッドを「外見ケアBook」としてまとめた。ある意味“美容が持つ不思議な力”を思い知らせる1冊となっている。

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