双子モデルのAMIAYAは、原宿のストリートで誕生し、今や東京のファッションシーンと世界を繋ぐ架け橋のような存在だ。2011年には、マークスタイラーから自身がクリエイティブ・ディレクターを務めるアパレルブランド「ジュエティ(JOUETIE)」を立ち上げ、10〜20代の層を中心に支持を集める。「ファッションを謳歌し、自由に表現する楽しさを届ける」ことをモットーに、ポジティブなパワーを発信してきた2人は、環境問題や人権問題など業界の負の側面に関心が高まる今、あらためて「私たちが発信すべき責任あるメッセージとは何か」を自問する。本連載では、AMIAYAがさまざまな角度からサステナビリティを学ぶ姿を追う。第1回は、AMIAYAにこの連載にかける思いについて聞いた。
WWD:今回の連載は、2人から「サステナビリティについてもっと学ぶ機会が欲しい」と声をかけてくれたことがきっかけです。そう思った背景にはどんな理由が?
AMI:2019年ごろから海外のコレクションに行くと、環境問題やサステナビリティをテーマにしたブランドのプレゼンテーションを見る機会が増えました。主に海外でそういった情報に触れながら、自分たちも何か変えられることはないか、どんな発信をしていくべきかを2人でよく話すようになりました。
WWD:特に印象的だったショーの思い出は?
AMI:20年春夏シーズンの「ディオール(DIOR)」です。森を再現した会場で、ショーで使用した木を街に植樹する取り組みを実践していました。メディアの人からこういったサステナビリティのメッセージをどう思うかと聞かれましたが、その時はうまく答えられませんでした。一方で、海外のインフルエンサーたちは自分の言葉でちゃんと意見を述べていて、私たちもこうならなくてはと思った瞬間でした。
WWD:ファッションの楽しさや華やかな部分を経験してきた2人が、生産工程の裏の人権問題や環境破壊などに目を向けることで、ファッションに対する姿勢に変化はありましたか?
AYA:自分たちもファッションを選ぶ視点が変化しています。加えて、若い子に向けてファッションの楽しさを発信する責任を強く意識するようになりました。ずっと大事にしてもらえる服も大事だけど、トレンドも発信したい。そんな葛藤を感じるようになりました。
WWD:環境問題などに対する発信はこれまで意識的に避けていたのですか?
AMI:正直抵抗はありました。以前、ラジオでサステナビリティの話題に触れたら、その後インスタグラムのDMで「何も知らないくせに」とか「なんかイメージと違う」といったコメントを受け取りました。この話題は特に、“完璧に知識を蓄えていないと触れてはいけない”という雰囲気を世間からは感じています。今も話すことが怖いし、攻撃されるかもしれないと不安です。だけど本当は、みんなで話して、一人ひとりの意識を変えていくべきだと思うんです。私たちが等身大で発信することで、その壁を取り払って、いろんなところでディスカッションが始まるきっかけを作りたい。
AYA:私はエシカルやフェアトレードに興味を持つようになってから、洋服の話は政治や自分たちの生活のさまざまな部分と密接につながっていることに気が付きました。ファッションについて発信する立場として、もっといろんなことに興味を持ち、知ろうとするべきだと強く感じています。友達とご飯の話をするみたいに、サステナビリティや政治の話も日常的に話せるようになることが理想です。
AMI:「ジュエティ」は“ミックスガール”というコンセプトで立ち上げました。当時は、青文字系や赤文字系などファッションのジャンルが分かれていたので、もっと自由な表現を楽しんでほしいという思いを込めました。今はエシカルなブランドも、ある意味ジャンルとして分かれている気がしますし、サステナビリティに関する発言をできる人が限られている気がします。私たちが等身大で発信することで、完璧な人しか語っちゃいけないタブーを取り払いたい。
WWD:最後にこの連載を通じて、どんなメッセージを届けたいですか?
AMI:私たちの好きなブランドの「ガニー(GANNI)」のデザイナーがあるインタビューで、「新しいものを作るビジネスと、持続可能な社会には絶対的な矛盾がある。だから自分たちではサステナビリティは謳わない。それでも自分たちができる最善のことをして、ファッションブランドとしての責任を果たしたい」と話していました。問題にしっかりと向き合っているからこその言葉です。私たちもさまざまな問題にちゃんと向き合い、感じたことを自分たちの言葉で伝えていきたいです。
AYA:私たちの役目は、ファッションの楽しさを伝えること。これまで世界で認められるファッションアイコンを目指してきましたが、それは日本のファッションと世界をつなげ、ファッションを通じて社会に貢献したいから。社会に貢献するためにファッションのポジティブなパワーを、責任を持って届けていきたいです。