ロンドンの名門セント・マーチン美術大学は、2年ぶりに修士号(Central Saint Martins MA)の卒業制作コレクションを発表した。そこでは、メンズにおける体の多様性や、ジェンダー・アイデンティティー、サステナビリティなどを追求するファッションが多く見られた。
「ロレアル プロフェッショナル クリエイティブ アワード(L’Oreal Professional Creative Award)」でグランプリに輝いたロンドン生まれのラテン系デザイナー、エドワード・メンドーサ(Edward Mendoza)は、アニメに登場するような、カラフルで遊び心あふれるラージサイズのメンズコレクションを発表。デザイナー自身もモデルとしてショーに登場し、ショー後、SNS等に挙がったコレクションには多く反響があった。
ショーの後にはインスタグラムで、「われわれが表現したかったことがきちんと届いて、多くの方々に共感してもらえて本当にうれしい。ランウエイやキャンペーンで多様性のために使われるトークン(飾り)としての存在じゃなくて、業界の中でもっとプラスサイズの男性を称えていきたい。コレクションには、自分子ども時代を投影している。映画やファッションシーンで、自分と同じような体型を持ち、肯定的にとらえられている人々の存在が子どものころからもっとあったらよかったのにと思う。パワフルで共感できるような姿やボディー・ポジティブなメッセージがあったら、もっと早く自分のありのままを受け入れて、好きになれていたはず」と語った。
スペイン出身のブレイス・アルボー(Brais Albor)も、伝統的な“美の基準”から見てプラスサイズと表現されるモデルが登場したショーを展開。写真家、ヘルムート・ニュートン(Helmut Newton)にインスピレーションを受けたというジョー・ピアソン(Joe Pearson)のコレクションは、コルセットを取り入れたり、布を裸の体に巻き付けるようにしたり、挑戦的なスタイルが見られた。
今回卒業制作コレクションを発表したのは32人。メンドーサと並んで同じくグランプリを受賞したのは、フィリピン出身のイエッセン・マクアータンガイ(Jessan Macatangay)だった。学士号(BA)の卒業コレクションで、カラフルなレイヤーが特徴のアイテムを発表して業界の関心を集めた同氏だが、今回はボリュームを抑え、ミニマルかつセクシーにインパクトのある作品を仕上げた。ほかにも、3Dプリントを取り入れたアクセサリーを使ったアーロン・エッシュ(Aeron Esh)、ウィメンズとして展開されてきたコルセットをメンズコレクションに取り入れたジュンテ・キム(Juntae Kim)、モデルの体に直接合わせながらパターンを作っていったアリッサ・フルーネフェルト(Alyssa Groeneveld)らにも注目が集まる。